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私、勇者として召喚されました  作者: 乙女の涙
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第八十七話 私、酷い母親になってしまいました。

「ヒック、ヒック。」


(しのぶ)が泣いていた。

その隣で(しずか)は忍をじっと見ていた。

確信に近い予想だけど寝ていた忍が目が覚めたんだね。

そして周りに私が居ない事に気付いて泣いちゃったって訳だね。


忍の精神年齢は見た目よりも幼い。

記憶を消した弊害か薬の影響かは分からないけどね。


幼い子供が目を覚めたらお母さんが居なくなってた。

寂しくて怖くてでもどうすればいいか分からなくて、それで泣いても仕方がないよね。


忍の泣き声で静も起きたけどどうすればいいのか分からなくて見てるだけってことだね。

他人が泣くのを静は初めて見たと思う。

静にとってこれは初めての経験、自分さえも経験した事の無い実例にどう思うかな?

色々と考えて成長して欲しいね。


これから、道徳も教えていった方がいいと思ってたけどもしかしたら二人で成長していくかもしれないね。


そして何でその光景を見ていたかのように分かるかって?

それは初めから見てたからね!

監視?

違う、違うよ!

これは見守りだよ!


その為に遊びから急いで帰って来たからね!

本当はあの人をじわじわと追い詰めたかったけどね。

面倒くさかったのと忍の事で色々と省いちゃった。


ローレイさんがこのことを知ったら酷いと思うかもしれないね。

まぁ、他人よりも身内を優先する人間だからね、私は。


「おがーざん!」


私に気付いた忍が飛び付いて来た。

凄い勢いで跳んで来たから急いで魔力を出して衝撃を和らげた。


忍、凄い突進力だったけど足腰でも鍛えてたのかな?

そのまま私に手と足で抱き着いたまま私の胸に顔をぶつける。

ごめん、そこは平らだからぶつけても痛いだけだよ、忍。


「おがーざん、おがーざん、おがーざん!」


「ごめんね、忍。

お母さんね、二人が寝たから遊びに行ってたよ。

静もごめんね。

【浄化】」


涙や鼻水でぐちゃぐちゃになってる忍の顔に【浄化】を掛けると一気に綺麗になった。

鼻と目は赤いままだったけどね。

忍の頭を撫でさすりながらベッドの方に歩いていく。

セリフだけ聞いたら酷い親だね。

実際に酷いけどね。


『う、ん。』


「ほら、忍。

今度は何処にも行かないからお母さんと静とで三人で寝よっか。」


抱き着いていた忍を離そうとしたけど忍が凄い力で抱き着いてて離さなかった。

だからそのまま忍を抱き着かせたまま横になって静の頭も撫でながら子守唄を歌った。


勿論、私にも【浄化】は掛けてあるよ。

だから牢屋の匂いも付いてないハズ!


忍は顔を私の服に埋めて今も泣いてる。


『お、か、あ、さ、ん。』


「どうしたの、静?」


あれ、静が初めて私の事をお母さんって呼ばなかった?


『し、の、ぶ、は、な、に、を、し、た?』


あー、もしかして『泣く』って事を聞いてるのかな?


「忍はね、泣いてたんだよ。」


『な、く?』


あー、静はもしかして感情について分かってないのかもしれないね。

本来なら感情は生まれた時から少しづつ芽生える物だからね。


でもあの子と一緒の時は幸せそうだったから感情が無い訳じゃないからね。

少しづつ教えてあげよう。


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