第八十五話 私、ブラック・マリアと名乗りました。
ぐぐ、私とした事が初っ端から『悪人更生計画』を失敗してしまうとはいけないね。
浄化を部屋ごと掛けて彼女達を配下にして記憶を読んだら悪人じゃなくて被害者だったよ。
色々と仕事を考えてたんだけどね。
町のゴミ拾い、情報収集、悪人狩り、娘の遊び相手、スキルの実験台とか色々とね。
まぁ、配下にしたからには私が保護してあげよう!
いや〜、人間ってあそこまで酷い事も出来るんだね。
彼女達の記憶は忍の記憶とは別のベクトルの酷さがあったよ。
今は記憶を全部消して心も壊れてるみたいだからあの子に治してもらってる。
あれは覚えて無くてもいいよ、覚えてても精神が狂っちゃうからね!
それにしても凄かった。
なんと、彼女達は虫のような羽と複眼を持ってたんだ。
きっと蟲人だったんだよ!
他の部分にも虫の特徴があるみたいだね。
それは彼女達が全快してから確かめよう。
ふ、へ、へ、スキルに期待が膨らむよ!
そして一人だけ違う種族の人が居た。
今は気絶してるみたいだけど両手両足が無い人だった。
心は壊れて無かったから一人だけここに残して【ヒール】を掛けてる。
記憶を読み取ってみたけど斬り落とされたとか欠損とかじゃなくて元から無い種族みたいだね。
メトノームと言われる種族みたい。
両手両足が無くて魔力を使って浮遊が出来て魔眼を持つ種族らしい。
見るだけで相手を攻撃するなんて不思議な種族だね。
だから魔力で作った布を顔に巻いて見えなくしてる。
気絶から立ち直って私が攻撃されても嫌だからね。
にしても豚、この人達をこんな風にした太ってる人は大胆にもお城の隠し牢屋に閉じ込めてたみたい。
蟲人の卵が凄い高級な物みたいらしくそれを捕らえた蟲人の彼女達に無理矢理に産ませてたみたいだね。
強制的に卵を産ませるって凄い痛かったんだね。
薬で無理矢理に排卵って体を壊しちゃうよ?
よし、その人も配下にしちゃおう!
「ぐ、くぁ。」
ん、メトノームの人が起きたみたいだね。
「やぁ、起きたみたいだね!
【ヒール】を使ったから傷は治ったハズだけど大丈夫かな?」
「だ・・れ・だ?」
なんて答えようかな?
ここはひとつ演技を入れてもいいかもね。
「ボクはブラック・マリア!
世の中を良くする為に悪人を断罪する者さ!
君と似たような事をしてるね!
そうそう、君の瞳は隠させて貰ってるよ!」
「ふざ・けん・・・な。
他・・の・・奴・・何処だ?」
ふざけてはないけどね。
黒き聖処女なんて元魔王で現勇者の私にとってはぴったりな名前だと思うんだけどね。
これからもこの姿ではブラック・マリアと名乗ろうかな!
「他の子達は先に連れてったよ。
それでさ、君は力が欲しいだよね?」
「何・・を・・言って。」
記憶を読んだ時に知ってるからね。
力が無かったばかりに仲間も死んで危うく自分も死んでさ。
希望、後悔、無念、絶望。
色々と感情が混ざってたけどね
「ボクは君に力を与える事が出来るんだよ。
ねぇ、ボクと契約をしないかい?」
私は嘯く。
契約も何も配下にした以上は私に命令権があるんだけどね。
願いを叶える為に契約を結ぶアニメの真似を一度してみたかったんだよね!
「ボクの持っているスキルを君に貸し出す事が出来るんだよ。
君が欲しかった魔力を貯め込むスキルも持っているんだ。」
「!?」
魔力切れで負けちゃってたからね。
記憶でも使わない魔力を貯め込めればって思ってたみたいだしね。
「ボクは君に力を与える。
君はボクの気付かない悪事を裁く。
どうかな?」
「それは・・・本当、なのか?」
魔力を貯め込むスキルの事を聞いてるんだろうね。
そう言えばさっきよりも元気になってきたみたい。
【ヒール】が効いてきたかな?
「魔力を貯め込むスキルの事かな?
それなら本当だよ?」
「・・・分かった。
契約をしよう。」
「契約成立だね!
よろしく、えーと?」
「ローレイ、だ。」
「よろしく、ローレイ!
早速、君の中にボクの力を入れるよ!
後は外に出してあげるよ!」
そして私はローレイさんの中にスキルとあの子を入れた。
あの子が入ってる限りは間違った事は起きないだろうからね。
あの子が大活躍だね!