第八十話 私、ゴブリンを使って娘を鍛えました。
様々な色のゴブリンがどんどん飛んでいく。
うん、今の光景をそのまま、素直に言えばそうなるね。
空中飛行が終わった静と忍はゴブリン達と試合をしてもらってる。
今、飛んでるのは全部静が飛ばしてるゴブリンなんだよね。
静は私が思ったよりも不器用だった。
色々と魔力で武器とかを作ってあげたりしたんだけど行動は全部一緒だった。
思いっきり横に振るうだけ。
ただ、それだけで直撃したら当たった所は全てを破壊。
当たらなくても衝撃波?みたいな物で周りのゴブリンがスプラッタになっちゃったよ。
しかも静は手加減が出来なくて全力で振り回すから作った武器も一振りで無残な物になりはてた。
武器は強度を上げて今は静が振っても壊れない武器になったけど相手が悪い。
ゴブリンの身体能力じゃ静と試合をするのは役者不足だったみたい。
そこらの敵を倒すのは今のままでも良いかもしれない。
思いっきり振って薙ぎ倒すだけ。
でも周囲の影響が物凄そうだね。
だから静は今は手加減の練習中だよ。
特大ハエ叩きで突撃してくるゴブリンを飛ばしてる。
最初はゴブリンのミンチが出来上がってたけど今じゃ高速でゴブリンを飛ばしてる所までに手加減が出来るようになった。
それでもゴブリンの体は五体満足じゃないけど。
やろうと思えばハエ叩きで肉を斬るとか出来るもんなんだね。
頑丈な糸と高速で動かす何かがあればさ。
目指すは当たってもピクリとも動かないレベルだね!
身体能力を下げるスキルがあれば魔力でスキルを強化して最低限まで下げて技術とかを教えられるのにね。
次々に静に突撃しては死んで生き返ってまた突撃するゴブリン達に静が手加減が上手くなるように【祈り】を使って忍の方を見る。
忍は静とは逆に高い技術を持っていた。
ゴブリンの攻撃を避けると同時に首を斬ったり、胸を刺したりしてる。
後は幾つかスキルも使ってるね。
試合をする前に使えそうなスキルを渡しておいたけどすぐに使って戦い方に取り入れてるのは凄いと思うよ。
流石は暗殺人形として育てられた事はあるんだろうね。
記憶が消えても体が覚えてるみたいな。
戦い方が洗練されてるよ。
まるで流水のように静かに滑らかに動いて一撃必殺を繰り出してる。
うん、『紅乙女』の騎士団員の中でもレガリア師匠以外は勝てそうだね。
レガリア師匠には無理そうだけど。
じゃあ、今度は百匹のゴブリンと戦ってみようか。
いや〜、それにしても随分とゴブリン達がカラフルになったね。
色の濃ゆさやグラデーションとか様々だね。
もしかして前から色が変わったゴブリンって進化でもしてたのかもしれないね。
新しいスキルも覚えたみたいだし私も使ってみようかな?
ゴブリンに対して今まで覚えたスキルの実験とかしていた方が良いと思うしね。