第七十八話 私、娘達を飛ばしました。
今日も午後からは予定が無い。
訓練所にも来てみたけど『紅乙女』の人達は居なかったしね。
・・・ゴブリンを使って静と忍を鍛えようかな。
二人の方を見るとさっきから始めていたオセロも終盤に差し掛かっていた。
今は白、静の方が多いね。
でも中央に白が多くてしかも何処にも置けないのか何度目かのパスを使ってた。
あ、黒、忍が逆転した。
うわ、そのまま静に一回も打たせないようにしながら勝っちゃった。
「やった!!
勝った、勝った!!」
『ま、け、た。』
「えっと、二人ともオセロが終わったみたいだしお母さんとお出かけしよっか!」
「行く行く!!
お母さん、早く行こ!!」
『う、ん。』
「それじゃ、《時空間》!
さぁ、ここを潜ったら行けるよ!
さぁ、二人とも行こう!」
先にゴブリン達の居る空間じゃなくて《時空間》で作った新しい空間を作ってそこに続く穴を壁に作る。
「お母さん、壁に穴が開いたよ!」
『あ、な。』
「静に忍、この穴はね。
お母さんのスキルなんだよ。
入ったら違う所に行けるからね。
みんなには秘密だよ?」
「うん、分かった!」
『う、ん。』
静と忍に口止めをして三人で穴の向こう側に行った。
「お母さん、お母さん!!!
床が無いよ!?」
『な、い。』
そこは空中に《時空間》で作った真上に雲がある部屋。
周りはゴブリン達の居る部屋と同じ透明にしてある。
「どう?
景色が凄いでしょ?
今は高い空の上に居るんだよ。」
「お空!?
お母さん、お空を飛んでるの!?」
『と、ぶ?』
空を飛んではいないね。
透明な床に立ってるからね。
スキル次第で空も飛べそうだね。
あ、出来る方法があった。
「今はまだ飛んでないよ。
二人とも飛んでみたい?」
「飛びたい!」
『う、ん。』
「それじゃあ、お母さんが二人を飛ばしてあげよう!」
私は魔力を放出して二人を包んで浮かす。
「浮かんだ!
浮かんだよ、お母さん!」
『ま、りょ、く?』
あ、静は気付いたみたいだね。
【魔力感知】を持たせてるから気付いたんだろうね。
浮かした後には《時空間》を使って空中部屋を広くして二人を縦横無尽に動かした。
後ろに【浄化】を使って妖精の粉みたいに青白い光の跡が残る様にしてみたり、雲の中に入ってみたり、アクロバットな動きをしてみたりした。
忍は大はしゃぎで私にされるがままに飛んで喜んでくれた。
静は自分の力で動こうと私の魔力を使って試行錯誤してた。
二人とも高い所やジェットコースターは苦手じゃないみたいだね。
二人が楽しんでくれて良かった。
今の内にゴブリン達に念話で話しておこう。
まずは一対一で勝負だね。
【短剣術】や【斧術】みたいな武器の補正スキルや【スイング】や【威嚇】みたいなスキルも試してみたいしゴブリン達に色々と実験台になってもらおう。
ボール系のスキルレベルはあがったか楽しみだね!
また新しいスキルを覚えてないかな?
後はゴブリンの魔王はどうしよっかな?
まだ調整中だから今回はいいや。
二人とも本当に楽しそうだね。
和やかだなぁ。