第七十六話 私、コルさんに会いました。
メカルーネさんの【眷属創造】で現れたのは大きなクッションの上に寝ている幼い女の子だった。
なんか可愛らしいリボン付きのネグリジェに同じデザインのナイトキャップを被ってた。
うん、どう見ても静よりも幼そうだね。
2、3歳児ぐらいだよね?
「さぁ、起きるがよい!
我が眷属、夢想者コルよ!」
メカルーネさんが誇らしげな顔をしながら新しい眷属、コルさん?に手を向けて言い放った。
「スピー。」
うん、眠ってるね。
メカルーネさんの決めポーズも無駄になったね。
「むぅうそぉおしゃぁあコォオルゥウウウ!!!」
「・・・むぁ〜。」
メカルーネさんが思いっきり大声を出してコルさんを起こした。
コルさん、目を擦りながら大きな欠伸をしながら起きた。
まだ眠たそうだね。
あぁ、静と忍はあの子が《時空間》で作った小部屋で子守唄を聞きながら夢の中だよ。
助かる、助かってるけど私もやりたいんだけど!
何、二人に腕枕をしながら川の字で寝るなんて凄い羨ましいよ!!!
二人とも幸せそうに寝てるし、あの子は無表情で唄い続けるし。
凄い幸せなそうな雰囲気だね!
こっちは色々とゴタゴタしてるのに!
いつか私もするからね!
「ようやく起きたの。
夢想者コルよ、我が記憶を元に種族を創りこの世界に放て!」
「スピー。」
「寝ずに話を聞くのじゃ!!」
長く続きそうだね。
コルさんは起きてもすぐに寝ちゃうみたいだね。
うん、そういう人も居るよね。
それにしても新しい種族って何?
「今回のコルも長く続きそうだね!
僕やロネもここで長引いたからね!」
「ちょっと!?
私はあの子みたいに話も聞かずに寝たりはしてないわよ!」
「ハハ!
それより勇者君はちょっと分かって無いみたいだよ。」
え!?
「何よ、あんた、この事も分かってなかったの!?
いいわ、私が教えてあげる。
感謝なさい!」
レパさんがロネさんの口撃の矛先を私に変えてきた!?
私、レパさんに身代わりにされたよ!?
その後、私はロネさんに色々と自慢された。
メカルーネさんが眷属を創る度にその眷属に新しい種族を創るのが伝統らしい。
種族の幅を広げより魔神への侵攻に対応が出来るようにしたいらしい。
後、眷属によって創れる種族にも差があるみたい。
女神メカルーネは初めの基本となる種族、人を創り。
記録者アンが不思議な目を持つ種族を創り。
伝言者テルが獣や魚、蟲などの特徴を持つ種族を創り。
技術者ニノが手先の器用な種族を創り。
破壊者レパが命無き種族を創り。
生産者ロネが植物から出でし種族を創った。
「・・・ねむ。」
「寝ずに早う創れ!」
メカルーネさんが死神としてコルさんを創ったからゾンビとか幽霊とかの種族が出来るのかな。
うん、ホラーなイメージしか湧かないね!
「・・・ぅぁ。
できた。」
私がホラー映画にでてきそうな奴を想像してたらメカルーネさんとコルさんの間に透けた人の姿で腰から下が殆ど消えて見えないような者が現れた。
あれ、なんか私が想像した幽霊に似てるような気がするね。
「ふぁ〜ぁ、ゴースト。」
コルさんが欠伸をしながらその透けた人を指差す。
「でかしたのじゃ!
アンはこのゴーストを記録するのじゃ!!
テルよ、早速、夢想者コルとゴーストの存在を伝えるのじゃ!!」
「分かりました。」
「行ってきますわ!」
メカルーネさんがアンさんとテルさんに命令をする。
すると段々と視界が狭まって行く。
もうすぐこの神界から私が出て行くんだろうね。
「おねぇさま、おれい。」
何故かコルさんが私に顔を向けてそう言った気がした。