第七十四話 私、ニノさんにプレゼントを渡しました。
「死の神、ですか?」
冥界、死後の世界の王や主ってことかな?
確かに地球や魔王時代の世界にも死に関する神は居たけど。
「そうじゃ!
新しい眷属を死に関する者にしようと思うのじゃ!
その眷属について助言が欲しいのじゃ!」
助言って言われてもね。
私は神なんて作った事も無いよ。
あ、一人いたよ、あの子を生み出したのは私だった。
それでも偶然に出来た事だしね。
知識ぐらいなら貸せるかもしれないね。
「其方の記憶を見せるのじゃ!
あれを見ながら考えるのじゃ!」
あっそう、ゲームの記録を見たいだけなんだね。
それって私を神界に呼ばなくても出来たんじゃないのかな。
「近くに居らぬと記憶が読めんのじゃ!」
と言いつつメカルーネさんは私の方に手を向けて難しい顔になった。
念力を送ろうと頑張ってる子供にしか見えないね。
その隣に涎が溢れんばかりのテルさんとメカルーネさんの補助をしてるみたいなアンさんが居た。
うん、二人とも考えてる事が丸分かりだね。
するとタイミングを見計らっていたのか長身の女性、ニノさんが近づいて来た。
「ニノさん、どうしましたか?」
「・・・。」
私よりも身長が高いから黙って上から睨みつけられてるように感じるで怖いね。
レパさんはニノさんが恥ずかしがり屋だって言ってたけど本当かな?
あと、レガリア師匠よりは低いけど女性にしては高いね。
その分胸が小さいのは好印象だよ!
「それじゃ勇者君が怖がるじゃないか!
勇者君、ニノが君に聞きたい事が有るんだ。
そうだろ、ニノ!」
レパさんがニノさんの隣に来て行ったら静かにうなづくニノさん。
声を出しましょうよ。
「勇者君、ニノの代わりに僕が聞くよ!
ずばり、君の魔力操作という技術をニノに教えてくれないかな?」
魔力操作?
身体強化やスキル強化でもするのかな?
「理由を聞いてもいいですか?」
「・・・。」
「ふんふん、なるほど。
それはだね、魔力を物質化させる技術が欲しいからだそうだよ!」
え?
ニノさんの声が聞き取れなかったんだけど。
よくレパさん、聞き取れたね。
「いいですよ。
手本を見せるので見ていて下さいね。」
私は魔力を放出してニノさんに似合うシックな髪留めを作った。
ニノさんの目付きが悪いのって前髪が邪魔でなってると思うんだよ。
前髪に時折、隠れちゃってるからね。
「!!!」
「おぉ、本当に何も無いところから出てくるとは!
スキルを使った様子も無いし本当に魔力から作ってるみたいだね!
いや、異世界の技術って凄いな!」
ニノさんは髪留めに対してもっと怖い顔をしながら近づけてきた。
近い近い近いってばニノさん!
レパさんは大袈裟に驚いていた。
驚く前にニノさんを止めてよ!
「に、ニノさん、これあげますよ?」
「!?」
ニノさんが髪留めから私の方に顔を上げて見つめてきた。
なんだろ、怖い顔をしてるんだけど可愛く思えてきた。
「はい、ニノさん、どうぞ。」
ニノさんはゆっくりと髪留めを私の手から取った。
チラチラと私の顔を見ながら取るなんて餌を取り上げられると勘違いする小動物みたいじゃないですか。
ニノさんは髪留めを色々な方向に向きを変えながら見てる。
使い方が分からないのかな?
「ニノさん、ちょっと貸して下さい。」
素直に髪留めを渡してくれたニノさんの頭の方に魔力を使って私を持ち上げてニノさんの前髪を髪留めで留めた。
「ほら、これで顔を見て下さい。」
魔力で手鏡を作ってニノさんに渡した。
「へぇ〜、鏡も出せるのか?
しかも綺麗に映ってるじゃないか!」
「!?!?」
手鏡を恐る恐る覗いて驚いた様子のニノさんに鏡を褒めるレパさん。
ニノさんも怖い雰囲気からクールビューティーな感じになりました!
女は道具一つで印象を変えられるですよ!
「どうですか?」
「・・・!」
「ふんふん、分かった。
勇者君、ニノも髪留めをくれてありがとうと礼を言ってるよ!
それと魔力操作の仕方も分かったから練習して自分も技術を習得してみせると意気込んでるよ!」
そんなに言ってたのニノさん!?
いや、嬉しいけど、嬉しいんだけどね。
一言ぐらいしかレパさんに言ってないよね?
まぁ、ニノさんが嬉しそうだからいっかな。
「思い出した!!
あんた最近、急成長したエルフの視界に映ってた奴にそっくりじゃない!!」
突然ロネさんが叫びながら私を指さしてきた。
エルフ?
もしかしてクーの事かな?
でも視界に映るって何?
「あんたのおかげで私のエルフがより美しくなったのね!!
いいわ、お礼に私の加護を渡してあげるわ!
ひれ伏しながら感謝なさい!」
「・・・!」
「え?
ニノも加護を勇者君に与えるって?
じゃ、僕もあげようかな!」
「はい?」
なんか一気に加護が増えた。