第六十六話 私、レガリア師匠を倒しました。
私とレガリア師匠が並び立つ。
何故かその周りには『紅乙女』の騎士団員と静が取り囲んでる。
うん、いつも通りの光景だね。
みんな、私とレガリア師匠の戦いを見たいらしい。
私がレガリア師匠と戦う時はいつもこんな風に取り囲む。
まぁ、自由に動けるぐらいには離れてるけどね。
違う所と言えば今日は静もいるのか。
なんか周りの女騎士のみんなに可愛がられてる。
頭を撫でたり抱っこしてみたりされてる。
うん、可愛がられるのは仕方が無いね!
だって静は可愛いからね!
「おい、勇者!
早く鎧を着て来い!」
「レガリア師匠!
今日はいつもとは違う戦い方をさせて頂きます!」
「おい!
まだ無理だと言ったはずだぞ?」
あ、モンスターテイマーの能力だと思ってるのかな?
「安心して下さい!
また別の能力です!」
そう言って私は魔力を放出して体の周りで物質化した。
動きやすいように全身を軽くて丈夫な鎧とガントレット、後は蹴ったら相手が痛そうな靴を作り出した。
今回は拳闘士を意識して作ってみた。
回避して殴るよ!
動きやすいように伸縮性の高い奴を作った。
「あぁ?
なんだ、それ?」
「レガリア師匠、私は魔力を使って物を作り出せる技術を持ってるんですよ!
異世界の技術です!」
レガリア師匠や騎士団員が呆然として立ち尽くしてる。
これで驚かれちゃいけない。
今日はまだまだ驚かせるよ!
私はいきなりレガリア師匠に駆け寄った。
レガリア師匠も反射的に大剣をこちらに向ける。
今回の私の獲物は拳。
対してレガリア師匠は2メートルほどの刃引きされた大剣。
相手の懐に入らないとこちらはダメージを与えられない。
しかも接近できても相手は全身に鎧を着けてる。
だからダメージを与え難い。
一見して不利な条件だけどそれは普通だったらね。
「ふん!」
まずは振り下ろされた大剣を右に避ける。
そしてレガリア師匠の左足の膝上を殴る。
うん、強化無しだから私の手が痛い。
「はぁ!」
大剣を薙ぎ払われて来たから跳びながら大剣をガントレットで打ち付けて大剣の上で前回りのような動きで避ける。
「また妙な避け方を!」
ついでに魔力で大剣を押して加速させた。
「ぬ!?」
バランスを崩したレガリア師匠の左足を今度は魔力で強化して殴る。
今の私じゃあまり魔力を込められ無いけど大丈夫かな?
「ぐぅ!?」
うん、良かった。
効いたみたいだね。
さてどんどん殴ろう!
私は大剣を避けてはレガリア師匠の足を集中的に殴った。
しばらくするとレガリア師匠が倒れた。
足へのダメージが溜まって立てなくなったからだね。
「参った!
勇者、今度は何をしたんだ?
大剣が妙に速くなったり急に力が強くなったりしてたぞ?」
倒れたレガリア師匠が足に【ヒール】を掛けながら聞いてきた。
答えてもいいかな。
「はい、魔力を操作して色々とやってみました。」
「魔力を操作して、か。
それはまた凄いな!
もしかしてそれをあいつにも教えるのか?」
レガリア師匠は静の方を見ながら言った。
この流れはもしかして。
「はい、ここで教えようと思います。
レガリア師匠達もどうですか?」
「お、いいのか!
頼んだぞ、勇者!」
うん、凄い笑顔で言われた。
思った通りだね!