第六十四話 私、静と強くなる事を宣言しました。
ふぅ、私と静は夢から帰って来た。
あの牛エルフ、クーに聞きたい事も沢山あったけどあの子の声が物凄く大きかった。
縫い上げた口を一回、解いたらロックバンドと工事現場を足したような叫び声を出したから静が驚いちゃって目を回しちゃったよ。
だから直ぐにクーの口を塞いで指示を出して戻った。
もう、あれはエルフじゃなくてマンドラゴラとかじゃん。
引き抜いたら叫び声をあげる地球の空想の植物。
この世界のエルフがみんな同じようだったら私はエルフを狩り出すかもしれない。
あの胸は絶滅させないといけない!
顔よりも大きくて垂れ下がってない胸なんて消えてしまえ、垂れ下がってしまえ!!
肩が凝って苦しんでろ!
まぁ、私怨の話はいいや。
静の教育について考えた方が有意義だもん。
静は頭が良いかもしれない。
言葉だって教えて直ぐに覚えた。
念話限定の簡単な会話も出来る。
計算も出来る。
四則演算を教えた後に問題を出してみたけど全部の問題を解けた。
静に教えたのは一回限りだけど覚えた。
うん、まるで木綿が水を吸収するみたいに。
静は天才だ。
鳶が鷹を産んでしまったみたいだ。
あれ?
元魔王の子供だから当然なのかな?
まぁ、いいや。
取り敢えず静は一度教えたら直ぐに覚える事が出来るみたい。
まだ小学生くらいの見た目の0歳児だから潜在能力は高いと思う。
それなら母親である私は何をすればいいのかは一目瞭然だよね!
そう、教育だ。
私には地球と魔王時代での知識と経験があるんだ。
それを全て静に伝えたらきっと静の為になると思う。
料理、裁縫、掃除、洗濯。
痴漢や暴漢への対処方法。
ゾンビの殺し方。
神話や伝承、空想の者。
御伽話や子守唄。
戦術や武器の扱い。
科学や魔力の知識。
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現実世界と電子世界と魔王時代の世界の全てを教えればきっと静の役に立つ!
教えるだけじゃダメだよね。
ここは剣と魔法の世界。
闘えないと蹂躙されちゃう。
だから魔力操作を始めとして体の使い方や鍛錬、魔法の訓練をしないとね!
たとえ銃を持ってても打ち方が分からなかったら意味がない。
たとえ軍艦を持ってても操縦出来なきゃ意味がない。
私もこの世界のスキルはまだまだ知らない。
勇者として活躍するならスキルの理解も深めた方が良さそうだから静と一緒に特訓をしよう。
あ、静が目を覚ましたみたい。
「おはよう、静。
今日は静も魔力操作について頑張ってみよっかね!」
「・・・!」
うん、静もやる気みたいだ。
でもそんなに勢い良く頭を動かして痛くなかった?