第六十話 私、ハンバーグとポテトサラダを作りました。
私は今、厨房に居る。
静はコペル君と勉強部屋で一緒にオセロをしてる。
多分、ヤハルさんが二人の周りでブツブツ言ってると思う。
角が取れる、そこ置いたらダメとかね。
ヤハルさん、遊戯は好きみたいだけど口煩いと二人から嫌われるよ?
厨房の皆さん、マグル教の人達は私を熱烈なに歓迎した。
テルさんの加護の持ち主とテルさんの言付けが効いてるみたい。
材料をいくら使ってもいいと言われた。
それで今ある材料を見せて貰ってる。
パンだと思っていたのは木の実だった。
バングという実で見た目はソフトボールぐらいの大きなクルミ。
硬い殻を割ると白くてコロコロとした果実が一つ入っていてた。
出てきて果実を焼くとふっくらと膨れてご飯で出てくるパンになった。
目の前で実践してもらった。
流石は異世界、パンの作り方から違うなんてね。
魔王時代のパンも小麦から作れてたのにね。
そしてスープの素は魔石だった。
お湯の中にコンコロという子供でも倒せる弱い魔物の魔石を入れて作られていた。
黄色くて丸い石が塩や砂糖の塊が溶けるみたいに無くなっていったのは見ていて面白かった。
味はコンソメスープだ。
いつもはその中に魔物の肉や野菜を入れて煮込んでいるらしい。
なんとこの世界の魔物は倒すと光になって消えるらしい。
そして魔石は絶対に落ちて他にも色々な物が落ちるらしい。
例えば爪や牙、角や鱗、はたまた肉や果実、武器や防具まで落とすらしい。
うん、アイテムのドロップ品か。
いいね、ゲームっぽいじゃん!
そして調味料、塩だけだけどこれもドロップ品だって。
しかもスライムの魔物から落ちるらしい。
・・・何故!?
でも肉を塩で炒めるのも良いけどさ、他にも使えるんだからね!
まぁ、焼いた物に塩をひとつまみ掛けるのも定番だけどさ。
ジュースとか煮物、麺や漬物、はたまたアイスにも使う万能調味料なんだよ。
分かってたけど醤油や味噌なんて無かった。
醗酵食品についてマグル教の人に聞いて見たけど聞いた事も無いらしい。
大豆があれば作れるから諦めないよ!
とりあえず魔物の肉を微塵切りにして挽肉を作った。
玉ねぎは無いから魔物の卵とバングの果実をカリカリに焼いて砕いたのを挽肉と塩をも入れて混ぜ捏ねる。
タネが出来たら後は焼くだけのハンバーグもどきのタネの完成。
付け合わせにクラムという根菜を蒸した後に潰す。
うん、これって地球のジャガイモに似てるんだよね。
だからポテトサラダを作ろう。
塩しか味付けが出来ないのが本当に残念だよ。
マヨネーズを作りたかったけど酢と砂糖が無かった。
だからコンソメの素、コンコロを水に溶かして蒸して潰したクラムの中に入れて混ぜた。
そうそう、材料の全部に【浄化】を使ったよ。
細菌とか怖いからね。
味は・・・うん、食べれるね!
「あ、あの勇者様、その料理はなんでしょうか?」
えっとマグル教の・・・誰か分からない。
まず私はこの人達の名前聞いてないや。
「はい、これは私の故郷の料理です。」
「そうなんですか!
あの、見た事の無い料理でしたのでつい気になってしまって。
少し頂いてもよろしいでしょうか?」
うん、料理人魂に火でも着いたのかな?
「はい、いいですよ。
肉を焼いたのがハンバーグ。
それとクラムサラダです。
レシピも後で教えましょうか?」
そして完成されたハンバーグとポテトサラダを作って見せて!
「よろしいのですか!?」
「はい、良いですよ。」
私だけじゃあの味に近づけるのは無理だよ。
ソース、みりん、料理酒、君達はどこに居るんだよ。
「ありがとうございます!!」