第五十一話 私、ウォンバットさんに会いました。
国王陛下が戦い方については考えておくと言われた。
魔物を使役して戦うのはこの世界じゃ行われてなかったみたいだしね。
5000匹のゴブリンを統率して訓練する様子は出来るだけ見せたくないみたい。
秘密の特訓をするしかないね。
「君が・・・何故二人も居る?
どちらかが魔導士マルザンが呼び出した異界からの訪問者かね?」
「はい、私が早乙女 雫です。
この子は私の娘の静です。
貴方は?」
今はヤハルさんと勉強部屋に戻ってたんだけど知らない男の人が部屋の中に居た。
黒いマントに偽物みたいなテカテカ光る髭と髪で垂れ目の金髪蒼眼の中年。
何だろう、バンパイヤとかドラキュラって雰囲気を醸し出してるよ。
「我は闇の賢者、ウォンバット。
君に魔法を教授する者だ。」
「そうですか。
宜しくお願いします。」
ウォンバット?
なんか知ってるような気がする。
「ウォンバット様、もう大丈夫ですか?」
「うむ、この前は失礼した。
だが息子は無事に帰ってきた。」
ヤハルさんと何かやり取りをしてる。
息子さんが居るんだ。
「しかし勇者が子持ちとは聞いてなかった。
うむ、勇者によく似ている可愛らしいお嬢さんだ。
息子と同じくらいだな。
息子も連れて来るから待て。」
「え、待ってください、ウォンバット様!」
そう言ってウォンバットさんは部屋から出て行った。
なんだったの?
「忘れておった。
この本を読め。
我が戻るまで時間がかかるだろうからな。
それで時間を潰すが良い。」
なんか重そうな本を投げてきた。
ちょ、危な。
頭に角が当たったら気絶しそうなほど重い本だけど。
「では!」
「ウォンバット様、お待ちください!」
なんなのこの状況は?