第四十六話 私、王様に会いました。
「おや、これはサオトメ様にヤハルではありませんか。
それとサオトメ様に似たお嬢様が一人。
なにやら訳があるようですね。
如何なさいましたか?」
私は静を連れてヤハルさんに着いて行きました。
謁見の間ではない所に誘導されてたけど当たり前だよね。
執務をあんな所でするとは思えないし。
あそこは魅せる為の部屋、王の威厳や神々しさなんかを演出する部屋だもんね。
あんな鋭い眼をした国王なんだから仕事場は仕事場として用意してると思う。
「はい、ダスパ様、実はこちらのお嬢様についてでございます。」
「そうですか。
では国王陛下は今は国政の間にいらっしゃいます。
そちらに参りましょう。」
え?
それだけでいいの!?
もっと聞いたりとかするんじゃないの!?
この子は誰だ、どうやって産んだとかさ!?
ダスパさんが歩き始めた。
良いみたい。
折角色々と言い訳を考えてたのに。
「シズク様、シズカ様。
私はここでお待ちしております。」
え?
ヤハルさん、着いてきてくれないの!?
「分かりました。
では失礼します、ヤハルさん。
おいで、静。」
どうしよ、なんか不安になってきた。
出来ちゃった結婚のお嫁さんって多分こんな気持ちじゃないかな?
でも不安を静に見せちゃ駄目だよね。
親の不安って子供に伝わりやすいからね。
だから思いっきり笑う。
とびっきりの笑顔だ!
ニッ!
静の表情での反応は帰って来ないけど繋いでいた手の力が少し緩んだ。
緊張せずにリラックスだね!
ダスパさんが立ち止まった。
ここが国政の間らしい。
謁見の間とは違い質素な扉だ。
知らなかったら素通りしてたかもしれない。
コンコン。
「国王陛下、サオトメ様が報告したい事があると申しております。」
「・・・入室を許可する。」
「失礼します。」
ダスパさんが扉を開ける。
私と静、ダスパさんが国政の間に入った。
中は質素だ。
大きな机しかない部屋でその机には大量の書類が置かれていた。
その紙の間から今にも死にそうな顔色の男性、グフ国王が居た。
えっと国王陛下、オーバーワークしてませんか?
「勇者サオトメ、話は聞いている。
伝言者テルの加護や戦闘能力の高さ、覚えの良さ話題に絶えんな。
流石は女神メカルーネの選んだ勇者よ。
さて、今回はどのような用件であろうか?」
色々と聞いてますね。
ちょっと恥ずかしいけどこれからだね。
「はい、今回は私の娘の事と私の力に付いてです。」
さぁ、私が立てた計画でやってみますか!