第四十四話 私、夢の中で怖い思いをしました。
「アクマ様が来られたぞ!」
「アクマ様、是非御姿を拝見させて下さい!」
「アクマ様、子供が助かりました!」
「アクマ様!」「アクマ様!」「アクマ様!」「アクマ様!」「アクマ様!」
何、これ。
なんか夢に入った途端にこの熱狂した雰囲気になってるけど。
え、なんか怖いよ。
「や、やぁ。
みんな元気そうだね。」
「おい、アクマ様の御告げだ!
静かにしろ!!」
わぉ、話し声が一言も聞こえないよ。
なにこれ?
どんな状況なの?
それに御告げって何?
信教か何かですか?
それにしても300人以上の人が黙って一点を見つめてるって怖いね。
私はそっちに居ないよ。
そしてこの雰囲気で私は何を言えば良いのかな?
夢で異様な集団に話すとか無理だよ。
えぇい、一方的に話しちゃえ!
「君達にはスキルを覚えて欲しい。」
成長すればその分、私も強くなるからね。
「その手伝いを私がするよ。
武器の使い方、魔力操作、私の知識を君達に教えてあげる。
今まで通り生活してもいいけど最低でも護身術は覚えてもらうよ。」
私の知識から新しいアイディアを生み出してね。
地球と魔王時代の知識を教え込むからね。
だから恍惚とした表情とか止めて。
膝ついて祈らないでよ。
めっちゃ怖いよ、この人達。
「以上。
何か質問はある?」
「はい、あります!」
元気そうな女の子だね。
私より年下かな?
なんかマグル教の人みたいな格好なんだけどね。
全身真白なんだよ。
「君、名前は?」
「はい、パトリシアと言います!
まずは町の子供達の病気を治してくれてありがとうごさいます!」
いいね、パトリシアちゃん。
お礼を言ってくれるなんて嬉しいよ。
多分、私から送られた魔力で治ったんだろうね。
「うん、パトリシアちゃん、それで何が聞きたいのかな?」
「アクマ様は女神メカルーネ様の眷属の方ですか!?」
おぉ、ストレートで聞くんだね。
「あ〜、いや私はメカルーネさんとは関係ないよ。
あ、邪神の眷属とかでも無いからね。」
「そう・・・ですか。
分かりました。」
「アクマ様!」
うん?
あ、外道。
私に暗殺者を放った人じゃん。
「君は?」
名前は知らないからね。
「儂はマックハン・ゲティールと申します。
この領地、マドハドを治めてる領主でございます。」
町の名前はマドハドだね。
「アクマ様の事を他の者にも話す事をお許し下さい!」
「何でかな?」
「アクマ様の話を広げより多くの人にアクマ様の存在を知ってもらう為でございます!
そうすればアクマ様の御望みも叶うやもしれません!」
私の望み、ねぇ。
うん、表が私の為みたいたけど裏はどうなのかな?
私を周りに伝えてゲティールさんの得になる事。
色々考えられるよ。
「他の人に知ってもらわなくていいよ。
まぁ、私が連れて来た人を受け入れて欲しいな。
因みに私の望みって物を言ってみてよ。
違ったら困るし。」
「は、我がゲティール家を栄えさせ新たな勇者を生み出す事ですな!」
「勇者?」
勇者は私だよ?
「我がゲティール家は勇者の末裔。
代々勇者を輩出してきたゲティール家を栄えさせ娘のアメリーを勇者に鍛える事を宜しくお願い致します!」
それで私が邪魔だから暗殺者を放った訳ね。
まぁ、マドハドを栄えさせて配下を住まわせるつもりだし。
私の強化の為に才能があればそのアメリーちゃんを鍛えるし。
「そう思ってもらっても構わないよ。
他に質問はない?
・・・じゃ、今日はこれで終わり!
最後に私の魔力を流し込むから目が覚めたら元気が溢れると思うから気を付けてね。」