第三十五話 私、ゴブリンを配下にしました。
レガリア師匠達と森に来ました。
『紅乙女』の騎士と一緒に【テレポート】というスキルを使って目的の森まで移動した。
【テレポート】は使った人が実際に行った事のある場所に飛ぶ事が出来るスキルで『紅乙女』は新人以外は使えるとレガリア師匠が説明してくれた。
なんとスキルオーブを人工的に作る事が最近成功して国の騎士などに優先して便利なスキルを覚えさせてるらしい。
ただ、その人工スキルオーブは生産量が少なく成功率も低いらしい。
だから人工スキルオーブをもらうにはそれ相応の能力が無いともらえない為、試験があるそうだ。
因みに私にもその試験を受けられるらしい。
でも《時空間》があるから必要そうじゃないけどね。
新人さんや私はレガリア師匠や他の【テレポート】を覚えてる騎士に連れてってもらいました。
直接触れている物も飛ばせるらしい。
今、私の武装は革の鎧と長い木の棒です。
試合で色々な武器を試すうちに木製じゃないと上手く扱えなかった。
女子高生の腕力じゃ鉄の剣や槌とか重過ぎて扱いきれなかった。
だから今の私は格闘技や投げ技なんかの素手でも出来る技と木製の武器しか扱えない。
魔物相手には力不足だ。
そもそも私は見学だけでいいらしい。
レガリア師匠は私の身のこなしを見てゴブリンに襲われても回避だろうと太鼓判を押してた。
そして私はレガリア師匠と一緒に行動してこの世界のゴブリンや魔石やスキルオーブを見て覚えて貰う事が本題で木の棒は自衛の為に試合の時と同じようにゴブリンの攻撃を流せばいいらしい。
本来なら森の中で長物を使うのは引っかかったりして危険だけど私の技量であれば大丈夫だ。
私達は今はまだ森の中には居ない。
少し離れた草原に居る。
ゴブリン狩りに来た森は鬱蒼としていて暗そうな感じだね。
あの森の名前はテーマリ森、別名ゴブリン森でゴブリンしか出てこない森だそうだ。
一説にはあの森の中にゴブリンの魔王が居るのではないかと言われていて危険な森だとされてる。
そんな危険な森と指定し国が管理しているけど出てくるのはゴブリンのみ。
今では騎士のレベル上げや魔石やスキルオーブの収集に利用されているみたい。
勿論奥には魔王なんて居なくて黒い渦が出てはその中からゴブリンが出てくるという報告があってか魔王が遠隔で送っているというのが騎士達の考え。
まぁ、ゴブリンの数が多いからこうしてゴブリン狩りをやって数を減らしているのもあるみたいだけどね。
さぁ、早速《時空間》で森の中のゴブリンを見つけてレガリア師匠達に狩られる前に配下にしちゃおっと。
レガリア師匠は騎士達の指揮を取ってる。
森の中での活動やゴブリンの狩る定数を伝えてるみたいだから少し離れても良いよね?
レガリア師匠達に声が聞こえない所まで離れた。
「《時空間》。」
まずは周辺に何かいないか探す。
・・・無し。
草の茂みにも空にも地下にも敵は居ない。
次に森の中を見る。
居た!!
ゴブリンが数匹固まって動いていた。
ふんふん、緑色の肌にしわくちゃの顔。
尖った耳に髪の毛の無い頭。
赤い目に裸。
背丈は魔王時代のゴブリンよりも大きいね。
1メートルはあるかな?
武器は全員棍棒だね。
【新月の住人】でナイトメアに変身して眠らせてもいいけど、そしたらレガリア師匠達から姿を隠す事になるし止めとこう。
まずは《魔王の契約》が効くか試してみよう。
《時空間》でゴブリン達を閉じ込めてよう。
バケツをひっくり返したような形の壁を作ってっと。
あ、先頭のゴブリンが《時空間》で作った壁に当たっちゃった。
そして後ろからどんどん押されて苦しそうだね。
ようやく前に見えない壁があるのが分かったのかみんなで棍棒で叩き始めた。
その間にどんどん壁を狭めていく。
なんか騒いでるけど防音済みだから聞こえないよ。
足元とゴブリン達の頭上の空間を《時空間》で繋げる。
まるで落とし穴に落ちたゴブリンを見てるみたい。
「《魔王の契約》。」
ゴブリン達が頭上の私の姿に気付いたけどそのまま《魔王の契約》で出した黒いモヤを振りかけた。
モヤはどんどんゴブリン達を包んでいく。
慌てて暴れるゴブリン達。
二匹はモヤに包まれた後に直ぐにモヤを振り払ったけど残りのゴブリン達の姿がどんどん小さくなって消えた。
「《狂人の祟》。」
私はすかさず《狂人の祟》を発動させた。
すると残りの二匹も再びモヤに包まれて小さくなって消えた。
一緒に行動してたから仲間だよね?
一緒に私の配下になりなよ。
《魔王の契約》は少しでも距離が空いてると配下にするのに抵抗されるからね。
でもこの世界でも抵抗した相手にも《狂人の祟》の効果が出る事が確認出来て良かった。
町を手に入れた時は夢、ナイトメアの体内とも言える所でしたから分からなかったんだよね。
あ、レガリア師匠達も動き出したからそろそろ行くのかな、ゴブリン狩り。
《時空間》で作った空間を直してっと。
よし、行こうかな!!