第三十三話 私、眠さを堪えて勉強をしました。
眠い。
徹夜でゲームした時とか国攻めした時みたいに眠い。
神界に行ってたら夜が明けたけど精神的に疲れた。
眠らずに朝を迎えるとか元魔王でも辛いよ。
「シズク様、この部分はこの様に跳ねた後に丸く書くのがコツでございます。」
「はい。
・・・こうですか、ヤハルさん?」
「はい、もう少し大きく跳ねると綺麗に見えます。」
今はヤハルさんにこの世界の字を教えてもらってる。
徹夜明けで国語の勉強とか本当に辛い。
幸いなのは一度教えてもらうと自動で脳内で日本語に変換される。
だから読めるようになるし気をつければこの世界の文字も書ける。
文字には生活文字と魔法文字があって今は生活文字を習ってる。
生活文字は生活上で使う文字だ。
そして驚く事にこの世界は一つの言葉と一つの文字に統一されてる。
外国語という概念が無いらしい。
言葉と文字はアンさんがこの世界の者に伝えたから同じ言葉を話し同じ文字を読めるらしい。
羨ましい。
英語を覚えるのが苦手な私にとって一つの言葉を覚えるだけでいいのは助かる。
まぁ、訛りや方言があって離れ過ぎた地域だと言葉が伝わらない時もあるらしい。
人類全体の識字率はあまり高くないらしい。
貴族とか商人、一部の代表者が文字を読める程度で普通に生きてる人は文字が読めないらしい。
義務教育が無いんだろうね。
日本では考えられなかったけど魔王時代の世界でもそんなに高くなかったからもう驚かないよ。
日本の義務教育の事をヤハルさんに伝えてみたら凄い驚いてた。
そして何故かその事が魔王に支配される前の世界での事と勘違いされた。
ヤハルさんが泣きながら抱きつかれるのには慣れたよ。
それで教育魂に火でも付いたのかこうして熱心に生活文字を教えてくれてる。
ただ書けるようになるんじゃなくて綺麗に書けるように教えてくれてる。
まぁ、文字は書けるようになりたかったから助かったからいいけどさ。
そしてもう一つの文字、魔法文字はスキルに関する文字らしい。
鑑定石で出てきたステータスの文字はこの魔法文字だった。
他にも魔法陣とかにも書いてあるらしい。
魔法陣とはスキルの中で魔力を使ったスキルを発動した時に出るらしい。
多分、私が覚えてるボール系のスキルが魔法陣が出るんだと思う。
めちゃくちゃカッコ良さそう!!
早く見たいなぁ。
文字に力が宿ってるらしくアンさんが伝えた本当の文字がこの魔法文字、別名は真法文字だった。
だけど、生活に使うには危険過ぎるからそれを元に考え出されたのが生活文字らしい。
魔法文字で『日に関する文字』なんて書いたらその場で火が燃え盛る、なんて事が起こるらしい。
私は魔法文字も覚えたいけどまずは生活文字をきちんと書けるようになってからとヤハルさんに言われた。
そういえばヤハルさんて生活文字も魔法文字も分かるみたい。
凄いねヤハルさん!!
「あ、そこはこういう風に拗らせて書いた方が綺麗に見えます。」
「はい、分かりました。
・・・こうですか?」
「はい、その通りでございます。
シズク様は覚えが早いですね。
一度教えたらすぐに書けるようになるとは素晴らしいです。」
「それは召喚された時の副作用だと思います。
一度教えてもらえれば元の世界の文字のように見えてきますから。」
「そ、そうですか。
・・・この事は報告した方が・・・。」
あ〜、眠い。
徹夜で国語は眠いよ。