第三十一話 私、女神に会いました。
私の目の前に裸の女性が居た。
「こんばんは、シズク様。」
最初に声を掛けてきたのは栗色のボブカットに栗色の獣耳と尻尾でそぎ落としたくなるような豊胸、テルさんだった。
テルさん以外には子供ぐらいの大きさの本を持った目の鋭い三つ目で黒髪ポニーテールのスレンダーな人。
姿がぼやけて見える幽霊みたいな人。
うん、また神界に来ちゃった。
「こんばんは、テルさん。
それで他の方は?」
「はい、あの方々は・・・」
「ウェーイヒヒッヒぃ!」
うん、また居たよ、あの子。
テルさんの言葉遮っちゃ駄目じゃん。
テルさん困り顔で私を見てるよ?
頼むから静かにしてよ。
今度はブリッジみたいな事をしてた。
え、そのままの格好で走るの?
全裸でブリッジ四足歩行とか誰が見ても狂ってるとしか言えないよ。
「おい、貴様が異界の者か?
それとも異界の神か?」
三つ目の人が険しい声音で聞いてきた。
しかも私を睨んでるっぽいけど。
三つ目だから1.5倍かな。
仇を見るような目つきで見ないで、怖いよ。
「私は神ではないですよ。
あそこで駆け回ってる子が神ですよ。
それで貴女は?」
神格で分かるんじゃないの?
テルさんが分かってたし。
自分より、神格が大きいって。
まぁ、テルさんと一緒に来てるから大体は予想がつくけど。
「貴様からアレとは別の神格を感じる。
貴様はなんだ?」
「他の神格、ですか?
その前に神格はなんですか?」
私の知ってる神格とこの世界のは違うかも知れないからね。
魔王時代の神格とは神という種族のレベルだった。
だから私にあの子以外の神格を感じるなんてあり得ない。
だってこの世界には居ないからね。
さて、どうなの?
「主よ、此奴は災厄の種になるやも知れません。
即刻封印を致しましょう。」
え、スルー?
しかも私を封印する?
え、この状況はヤバくない、私?
「記録者アン様、それは横暴ではないでしょうか?」
「伝言者テル、貴女のような低い神格では感じ取れないのでしょう。
微かですが邪悪で禍々しい神格を感じます。
あそこで奇行を行なってるアレのような純粋で清らかな神格では無いのですよ。」
邪悪で禍々しい?
あれ、もしかしてそれって邪神の神格って事かな?
それとあの子が純粋で清らか?
本当にこの人の言う神格って何?
「××××××××××××。」
何、なんか音が聞こえたけど。
「しかし、主よ。
此奴は危険です!!
何か有ってからでは遅いのです!!」
「危険はないと思いますわ。
シズク様は悪い人ではなさそうですわ。」
「悪意の無くとも災厄の種には変わりない!
魔神に滅ぼされる前に彼奴に滅ぼされるかもしれんのだ!!」
「××××××。」
「な!?
此奴に私の加護を!?」
「××××××××××。
×××××××。」
「しかし・・・いえ、分かりました。
主の御心のままに。」
うん、音源はあの幽霊みたいな人からだね。
何を言ってるか分からないね。
会話してみたいだけど嫌な流れっぽいんだけど。
「おい、貴様!!
今から記録者アンである私から加護を授けるからな!!
可笑しな真似をしたら直ぐに封印をするからな!!」
「×××××。」
「・・・分かりました。
封印はしません。」
「はい、ありがとうございます。」
えっと加護を貰ったって事?
「×××。
言葉が分かるか?
異界の神と共に来た少女よ。」
言葉と共に姿もはっきりとして来た。
あれ、なんか見た事がある姿だよ。
「はい、分かります。」
「うむ、成功じゃな。
其方の記憶から其方が最も信じてた神の姿を取らせてもらったのじゃ。
ついでに加護も授けたのじゃ。
妾は女神メカルーネじゃ。」
加護がオマケみたいだよ。
メカルーネさん。
「主よ、異界の神の姿になるのは如何なものかと。」
「妾は頼み事をする立場ぞ?
この身が分身であれど言葉を交わさぬのは礼儀に反する。
話すなら己の信じた神の姿の方が幾分か頼みを聞きやすいじゃろ。」
神様だけど、安心と信頼のキャラだけど。
うん、私が最初にハマったゲームのキャラのアマテラスだよ。
回復特化のキャラでアマテラス無しじゃクリア出来ない仕様になってたからね、あのゲームは。
しかも唯一の蘇生スキルやその可愛らしい見た目からアマテラスがそのゲームのマスコットになったからね。
因みに見た目は十二単を来た幼女です。
はい、目の前に十二単を来た幼女が居ます。
うん、ここまできて裸じゃないってのは可笑しいと思う。
私にも服を寄こせ。
「童の姿の神とは珍しいのぅ。
しかも何やら其方と親しげよのぅ。」
「そうですわ。
とても愛くるしい姿ですわ。」
そういう設定でしたから!
誰にでも仲良くなれるのがアマテラスのキャラ設定だから!!
「しかも他の神を束ねて禍神、魔神に似とるのぅ。
其奴を打ち倒すとは流石じゃな!」
「それは凄いですわ!」
「ではその禍神という者の神格が此奴に付いているという訳ですか?」
はい、裏ボスの倒したシーンを言ってるんですね。
「これなら勇者としても期待が出来ると妾は思うぞ?」
「流石は私が認めた方ですわ。」
「しかし、あの神格の感じ方は倒して付いたものではありえません!」
うん、なんか白熱してきたね。
私、いつ帰れるんだろう。
はぁ、記録者アンと女神メカルーメの加護を持ってるって分かったらマグル教の人達がまた騒がしくなるだろうなぁ。