第三話 私、世界を救ってくれと頼まれました。
「魔導士ベルベゴートよ、その者が召喚した勇者か?」
「はい、陛下。」
私とベルベゴートさんは王と妃の前、小さな階段の前にまで進むとベルベゴートさんが王に声をかけられてました。
こうして近くで見ると王と妃の様子も分かる。
金髪蒼眼の太ったおじさんでした。
王は40代くらいかな?
くたびれたような感じがするな〜。
それにしても王はなんか顔色が悪かった。
青ざめてるけど体調は大丈夫ですか?
でも恰幅はいいですね。
もしかして食べ過ぎで吐きそうになってたりするんですか!?
は、吐かないでくださいよ!
そんなに若くはなさそうなんですから!
妃も同じ金髪蒼眼だね。
妃は王に比べると若い。
それはもう父と娘ぐらい若い。
もしかして王ってロリコン!?
私、標的になりませんよね!?
にしても発育良いですね!
私とは比べようがない事は一目で分かっちゃいますよ。
今も微笑んで私を見ています。
外人のモデルさんみたい。
絶対、化粧とかしてるんどろうなぁ。
いつかすっぴんを見てみたいな。
え、私?
えっと、乙女の秘密です!
決してペチャンコじゃない、うん!
「勇者よ、其方の名はなんと申すか?」
「はい、私の名前は早乙女 雫と申します。
早乙女とお呼びください。」
私がこんな言葉使うのって久しぶりだな〜。
魔王時代は言われる立場だったからね!
「そうか。
まずは勇者サオトメに詫びを言おう。
其方をこの世界に召喚せよと朕が命令した。
其方を元の世界に戻す手立ては我が国には無い。」
「はい、分かりました。」
おぉ、王が私に謝ってる!!
これって凄い事だよね!
周りの人もざわついてるし王の独断かな?
戻れない、か。
うん、正直者は大好きだよ!
「その上で其方に頼みたい事がある。」
王が私を見つめた。
前後撤回!
全然くたびれてないよ!
凄く鋭い視線だよ!
それだけ真剣だって事だよね!
私もそれに応えようじゃない!
「なんでしょうか?」
「其方に魔王ひいては魔神を倒して欲しいのだ。」
魔王や魔神の討伐依頼。
凄くゲームみたいじゃないですか!
こんな可憐な乙女に願う時点でそれだけ切羽詰まってるのかな?
「それは何故ですか?」
「この世界を守る為だ。
魔神は女神メカルーネ様が作ったこの世界を狙っている。
その手足として魔王が生み出される。
魔王は魔物や魔人を際限無く生み出す。
魔王ひいては魔神を倒さねば永遠と我らは魔物、魔人に襲われ続けるだろう。」
この世界では魔王が魔物を生み出すのかー。
私が魔王だった世界は魔物は自然に産まれて増える存在だったんだけどね。
例外はあったけどね。
ゴーレム系は作らないといけないかったからね。
やっぱり世界が変わるとそういう所も変わるんだね!
「そして、魔王は魔神から力を得ている。
そのせいで攻撃しても少しも傷を与える事が出来ない。
絶望が広まった時、女神メカルーネ様に祈りが届いたのだ。
我らにも加護を与えてくださった。
それは魔王、ひいては魔神への攻撃が通る効果がある。
ただし、我らにはその加護を与えて貰うには弱かった。
魔王を倒すまでは良かった。
だが魔神を倒すほどの加護を与えられる者は今まで、そしてこれからもこの世界からは出てこないだろうと女神メカルーネ様は考えられた。
そこで加護を与えられる者を異界から呼び出す事になったのだ。」
へぇー、加護の効果は魔王・魔神への特攻って事かな?
あれ?
私、元魔王だったけどその加護は貰えるのかな?
貰って爆散とかしないよね?
「勇者サオトメよ、其方は女神メカルーネ様の加護を受けられる者だ。
魔王、魔神を倒してくれるか?」
まぁ、なんとかなるでしょ!
一つの世界を支配出来たからね!!
「分かりました。」
そう、この人達が魔神を倒したいと思っている事がね。
ま、あっちに私みたいな存在がいるかもしれないし片側からの情報だけで判断するのは危ないと思うよね!
「そうか。
ダスパ、アレを持ってまいれ。」
「仰せのままに。」
王がそう言うと背後から執事風のお爺さんが現れた。
おぉ、私、居た事に気付かなかったよ!
お爺さんは礼をするとまるで溶けるかのように消えていった。
に、忍者ですか、あの人!?
「勇者サオトメよ、今から其方のステータスを見る。
其方の世界に無かったかも知れないが我らの世界にはステータスというその者の強さが分かる物が有るのだ。」
「分かりました。」
おぉ、この世界にもステータスは有るんだ!
魔王時代の世界にもステータスなるものはあってその人の色々なものが表示されてた。
「お待ちしました。」
そんな事を考えいたらお爺さんが忍者のように現れた。
また私、気付かなかったよ!
「ご苦労。
その鑑定石を勇者サオトメに渡して来るがよい。」
「承知致しました。」
そうお爺さんがうなづくと私に近づいて来ました。
足音が一つもしないなんてこの人、武芸の達人じゃないかな!?
それか元暗殺者だったりして。
いつの間にか出したナイフを投げてきそうだね。
「どうぞ。」
「はい、ありがとうございます。」
さて、この石はどうやって使うんだろう?
多分、この石を使ってステータスを見るんだろうね!
「サオトメ様、ワシの後に続いて呪文を唱えて下され。」
「はい、お願いします。」
ベルベゴートさんが私に耳打ちをして来ました。
呪文ですか!?
魔王時代の世界は呪文が無かったからね!
憧れがあったから凄い興奮するよ!!
「汝に命ずる、その力を我に与えよ。」
「【汝に命ずる、その力を我に与えよ】」
パリン!
わ!
私が持っていた鑑定石がまるでガラスが割れたような音を出して粉々に砕けたらその欠片が光って私の中に入っていった。
だ、大丈夫なんですか、これ!?
そう考えていたら皆私の頭の上を見ていた。
私も上を見ると斜め上になんか表示されている映像が見えた。
ちょっと、この角度からは私が見えにくいんですけど!?
周りの人もざわついてるしまともに見えるのって王の場所からだよね?
「レベル・・・0だと。」
うぇ!?
今、なんて言った!?