第二百六十九話 私、脱出を諦めました。
今の状況を説明しよう。
《時空間》で作った空間を膨らませた。
膨らませたけど止まった。
それ以降、変化無し!
うん、作戦失敗だね。
余程強固な壁があるらしい。
水風船だと思ってたけどコンクリートの壁だったよ。
今は全方位から吹雪と雹の空間を亜空間で押してるだけ。
意味と効果が無いから《時空間》は解除しておこうかな。
さて、どうしよう。
うん、どうしようもない。
まぁ、まだ打つ手はあるけどね。
ふふ、元魔王である私が策の一つがダメになったからって諦めないのだよ。
【虚無の門】で別世界に逃げ込む。
結果、使用不可。
スキルが発動しない。
理由、分かんない。
魔力は炎の結界が使用出来てるから使えるはずなんだけど。
外から妨害でも受けているのかな?
【喧嘩上等】で空間を無力化する。
結果、使用不可。
これもスキルが発動しなかった。
理由、分かんない。
うんともすんとも言わない。
ふん、持ち主に似たのかな。
【リセットコード】で元の環境に戻す。
結果、無駄。
スキルは使えたと思う。
炎の結界が消えて【飛行】の効果も消えて私が落っこちたからね。
理由、異常ではないらしい。
いや、異常でしょ。
これも【アクセスコード】と同様で原因が分からないと使えないらしい。
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うん、手は尽くした。
全部ダメだった。
仕方がないから別の事をしよう。
そうだね、双子から手に入れた【白き遊戯兵】と【黒き遊戯兵】でも確かめようっと。
確かチェスが元になったスキルだからね。
出でよ、黒き遊戯兵と白き遊戯兵よ!
うん、なんかカードゲームの召喚シーンみたいなセリフだね。
「【白き遊戯兵】【黒き遊戯兵】。」
おぉ、出た出た。
モノクロな軍隊が現れて・・・落ちて行っちゃった。
「えっ、ちょ!」
慌てた様子も無く身じろぎ一つせずに落ちて行くモノクロな軍隊。
うん、空中だって事を忘れてたよ。