第二百六十八話 私、危機的状況に陥りました。
ちょっと、いや、かなりヤバイ状況になっちゃった。
あれから帝国まで飛んでる筈なんだけど、距離が縮まらないんだよね。
《時空間》で距離を測って飛んでみたけど結果で分かった。
う〜ん、これは空間系のスキルを使われているって事だと思う。
この世界でのスキルは移動系と結界系しか見てなかったけど、こんなスキルも有るなんてね。
まぁ、スキルじゃなくて種族の特性って事も考えなきゃいけないんだけどね。
試しに止まって周りを観察してみたけど、違和感が無いんだよね。
こう、境目って言うのかな。
この手のものは部屋を仕切る壁のような存在が有る筈なんだけど。
それが見当たらない。
「【ファイヤーボール】!」
雹が当たって燃え盛る炎の結界の外から【ファイヤボール】を打って何処かに、壁に当たる存在にぶつかるかなと思ったけど、そのまま空の向こうへと真っ直ぐ飛んでちゃったよ。
もしかして、生き物だけを此処に留めておく効果でも有るのかな。
なら魔法スキルである【ファイヤーボール】が通り抜けたのは分かるけどね。
《時空間》で脱出を試みたけど、出れない。
亜空間を経由して出ようと思ったけどそれもダメ。
ふと、偶然的に『次元の歪み』に突っ込んだかと思ったけど静と忍の魔力の繋がりを失った訳でも無いし。
この状況、どうしたものかな。
【アクセスコード】で理を変えようと使ってみたけど何をどう変えるか分かってないから使えなかった。
探し物が分からないまま探すのは無理だってことだね。
ぐぅ、そんな制約があったなんて。
当然かもしれないけどさ。
・・・よし、暴れよう。
一番の解決策を思い付いた。
単純明解な答え。
壁があるなら物理で壊せってね。
空間系のスキルを破るには空間系のスキルで対象しなくちゃならない。
でも、《時空間》は攻撃スキルでは無いからね。
空間に干渉出来るとは言え空間ごと引き裂くとか無理な芸当だよ。
でも、作った空間の壁で押し付けることは出来るからね。
炎の結界の外側に《時空間》で亜空間を作ってっと。
あとはこの吹雪と雹の空間が壊れるまで膨らませるだけ。
まぁ要は水風船を中の水を入れ過ぎて破るのと同じ方法だね。
そうと決まれば、一気に膨らませちゃおう!
ふふ、私を捉えられるのは誰一人として居ないのさ!
これで私は自由の身だぁ!