第二百六十七話 私、吹雪と雹に遭いました。
【飛行】スキルで上空を飛びながらノーセブス帝国に向かってます。
高い所を飛んでいるから下から見られても鳥だと間違われるだろうね。
この世界には飛行船なんて言う空を飛ぶ機械というか道具は無いらしいからね。
下の大地は草原を超え、森を超え、山を超えたあたりから白く見えてきた。
多分、雪だろうね。
近くに雨雲も浮かんでるし雪でも降ったんだろうね。
あぁ、懐かしいな。
地球に居た頃は雪が降った時は地元の極道に宣戦布告して雪合戦したっけな。
極道と言ってもその子供達と遊んだんだけどね。
勿論、私のチームが勝ったよ。
なんで極道と知り合いかって?
極道の組長の孫が誘拐された時に私も一緒に連れ去られてね。
まぁ、なんやかんやで一緒に逃げだせたから良かったけど。
それから家族ぐるみで仲良くなった。
空を飛ぶのも気持ち良いよ。
空気がとても澄んでいて吸う度に胸の奥へと染み渡るような感覚が堪らないね。
これを体験したら高山に登る人達の心境も分かる気がするよ。
結構、早い速度で飛んでいるから大地の景色がゆっくりだけど動いてるように見える。
本当は身体が凍えてしまうほど寒いだろうけど私は【極寒耐性】をレベル最大まで上げていふから寒さは感じない。
スキルって便利。
ん?
あ、雪が降り始めた。
うん、雪って可愛いものじゃなかった。
前が見えなくなりそうなほどの大吹雪と拳大の大きさの雹が同時に私の周囲で起こり始めた。
まぁ、私には【吹雪の視野】と【氷属性耐性】と【打撃耐性】で問題にならないけどね。
服が雪で濡れないように魔力で防水加工済みだしね。
それにしても、なんか変だね。
雹って上空で雪の結晶が昇り降りして大きくなる筈なんだけど。
結構高い所で拳大の大きさって地表じゃ何処まで大きくなるのかな。
やっぱ、異世界だから違うのかな?
なんか集中的に雹が私にぶつかってきてるような気もするけど。
自意識過剰かな。
う〜ん、なんか鬱陶しい。
よし、融かそう!
使うスキルはこれ、【結界】と【エンチャント】と【終焉の焱紋】だね。
「【結界】。」
【終焉の焱紋】って説明では手に触れたって表記されてたけどこれを【結界】に付与すればあら不思議、触れたら対象を燃やし尽くすまで消えない焱で反撃する結界の完成ですよ。
「【エンチャント】【終焉の焱紋】。」
うん、この結界で雹を融かそう。
・・・よし、完成。
結界に当たる音が聞こえたかと思うとすぐに炎に包まれて消えた。
大成功だね!
まぁ、【結界】だけでも十分なんだけどね。
ノーセブス帝国までもう少しだからさっさと行こうかな。
え、《時空間》で転移すれば良いじゃないかって?
いやぁ、出不精の私だけど、たまには景色を楽しみたいと思うのだよ、うん。
まぁ、今は空中も大地も真っ白としか言えないけどね。