第ニ十六話 私、自分の首を自分で締めていました。
「私が教会に行くのですか?」
私は思わず聞き返してしまった。
「はい、シズク様。
女神メカルーネ様から加護を与えられる為に神官の方が居る城内の礼拝堂に行く事になりました。」
えっと、私、元魔王でそのメカルーネっていう女神を信じていないんだけど貰えるの?
神が存在してるのは分かる、というより魔王時代の世界で直接会ってるからね!
邪神、想像神、闘争神なんかと会ったり、闘ったりしたし配下にも何柱かしたからね!
神のスキルは危険な物が多かったからあまり使わなかったスキルが多いんだよね。
大陸を切断したり、新しい種族を造ったり、一度も使った事の無いスキルで《人類滅亡》なんて名前のスキルがあったからね。
使う機会なんて無かったし。
「なので今日は料理を教えられる事が出来ません。」
「そうですか。」
ヤハルさん、そんな残念そうな顔しないで。
勇者の教育として料理が必要かどうかを一度考えて!!
他にも教えないといけないものがあるよ!
きっとあるからさ、ヤハルさん!!
てか昨日【料理】なんてスキルを得たけどもしかしてこのスキルを覚える為にやってたのかな?
もう、いいや。
私から質問してみよ。
何を聞こうかな?
スキルの使い方とか?
「ではヤハルさん、私のステータスを見た時に鑑定石と呪文という言葉を聞きました。
どういうものか教えてください。」
「はい、シズク様。
鑑定石とは魔石、魔力が結晶化した物に【鑑定】というスキルを【エンチャント】というスキルで付与した魔道具です。」
へぇ、あの石、魔道具だったんだ。
物にスキルを付与出来るなんてその【エンチャント】、メチャクチャ欲しい!
「【エンチャント】で設定された呪文を唱えると魔石の魔力を使用して付与されていたスキルが発動するようになっております。」
「なるほど、そのスキルや魔力が無くても発動出来る様にされているという訳ですか。」
使い捨ての魔道具、ね。
魔王時代の世界では魔道具なんて高価な物なんだけどこっちではどうなんだろう?
それより聞きたい事もあるからまたいつか聞こう。
「はい、シズク様。
その通りでございます。」
「それにしても、そのステータス内容が読めなかったのですがどのような事が書かれているのですか?」
「読めなかった?」
あれ?
読めなかったらヤバイのかな?
「はい、私の頭上に映像として出たのは分かりましたがそこに何が書いてあるか見えなかったので何が書かれていたのか気になったので。」
「そうでしたか。
シズク様のようにレベル0であれば名前と種族が表示されます。」
それは、本当に何も分からないね。
「レベルが上がればクラス、能力値、スキル、称号、加護、備考が追加されます。」
「備考、ですか?」
それ以外は分かるよ、でも備考って何?
「はい、備考とはその者の状態異常や呪い、犯した罪や行った偉業などが簡単に書かれた者です。」
え?
そんなのあるの?
私、元魔王だってバレるかも!!
「それって誰が書いているのですか?」
「はい、女神メカルーネ様の眷属、記録者アンがこの世界の出来事を簡易に書いていると言われています。」
この世界の出来事、なら元魔王の事はバレないね!
まだ、罪とか犯してないし問題ないね!!
・・・あ、昨日ヤバイ事やってた。
えっと、昨日の事、記録されてるよね?
レベルが上がってそれが明るみに出たら私、何されるかな?
魔女裁判みたいな事されて勇者として動けなくなりそう。
く、どうすれば隠せるの!?