第二百五十七話 私、焼け野原を見渡しました。
世界は無数に存在する。
それは何故か、人の身で分かる者はそういないと思う。
答えは簡単だよ。
力のある神が無数に居て、一つ以上の世界を造るからだね。
とは言え、全ての世界が共通点が全く無いとは言えない。
同じ様な姿形の人間が居るのが良い証拠だね。
元となるデータのような存在があるらしいからね。
使うデータが一緒なら似るのは当然だからね。
さらに言えば似たような価値観の神達が集まってそれぞれ世界を造るから近くにある世界は似てくる。
まぁ、全てが全てそういう訳ではないけどね。
例外は何処にでもあるって事さ。
地球がその例外だったよ。
あそこは神が造らずに出来た世界だったからね。
確か、神々の喧嘩で意図せずに出来た世界、だったかな。
だから、後付けのように人によって多くの神が生み出された稀有な世界らしい。
うん、地域によって信じる神が違うのはそのせいらしいからね。
魔王時代の世界は力の無い複数の神が一緒に造ったせいで、ややこしい状況に陥ってたけどね。
最終的に主神の座を掛けてルール無しの乱戦状態にまで成ってたけど。
軒並み私が倒したけどね。
宗教戦争なんて地球や魔王時代の世界でしか見た事が無いし。
さて、門を開けた先の光景を伝えよう。
一言で言うと荒地、詳しく言うならあちこちで黒煙が燻ってる見渡す限り焼け野原済の光景だね。
うん、戦地か何かかな、此処は。
もしくは、火を使う何かが此処を燃やしたのかな。
あぁ、《時空間》で【虚無の門】で出した門と向こう側の世界に結界を張ってるから空気の状態とか分からない。
だって、似た世界とは言えね。
毒素に満ちた世界かもしれないしね。
魔力で調べてみたけど、毒素は無いし私が吸っても大丈夫みたい。
スキルは、やっぱ使えない。
メカルーネさんが作った物だから世界が代われば使えないって事は想像してたけどね。
《時空間》で焼け野原の土を抉ったり出来るから魔王のスキルは使えるのは安心だね。
でも、傀儡の気配を感じる事は出来ない。
《魔王の契約》で魔力の繋がりがあるからね。
同じ世界に居ればすぐに居場所は分かるからね。
つまり、『次元の歪み』によって別世界に行った傀儡はこの焼け野原の世界には来てない。
・・・まぁ、一発で見つけられるとは思ってない。
世界は無数にあるからね。
虱潰しに、草の根を掻き分けて探せば見つけられるだろう。
もしくは、傀儡が死ぬか、だね。
傀儡が誰かに倒されるなんて想像が難しいけどね。
あ、そう言えば、世界が変われば能力値も変化するかな。
スキルが無くてもあの身体能力なら、別世界の竜さえ、屠れると思うけど。
身体能力も下がれば何処かで囚われてるかもしれない。
あの子を中に入れているから、そう滅多な事は起こらないと楽観視してたんだけどね。
現に私はこの世界に召喚された時にスキルを軒並み失い、ステータスも激減してたからね。
一応、傀儡も私の娘だからね。
囚われの身なら助けるよ。
・・・想像がし難いけどね。
取り敢えず、《時空間》でこの世界に亜空間を作っておこう。
いつかの避難をする時の為に、ね。