第二十三話 私、外道に落とし前を付けました。
あの太った人とは戦うことになった。
条件付きで。
『レベル50。
そのガキがレベル50になったら俺と戦ってやらぁ。』
何故か偉そうに上から目線の言葉にレガリアさんが買ってしまった。
買わなくていいよ、レガリアさん。
まぁ、ライバルなんてゲームの主人公っぽいから賛成だけどさ。
こうね、ライバルが丸々と太った男ってのは気に食わないんだけどね。
ま、その時は私の配下にしてダイエット命令でも出そうかな?
金髪に白い肌、紅い瞳。
痩せたらイケメンになりそうだからね!
にしても本当にあの太った男は何者なんだろうね。
え?
《時空間》で調べればいい?
そんなストーカー行為をしてまで知りたくはないよ。
それよりも重大な事件もあった事だし、そっちを解決してから今後の指針を決めよう。
まさか、3日目で暗殺されるなんてね。
殺された後、ちゃんと《再誕》が発動して生き返った後に《時空間》で何があったか確かめたからね!
不幸中の幸いで《再誕》の効果もちゃんとあるみたいだから良かったものの、普通だったらあそこでゲームオーバーだったね。
そのせいであの子が目覚めちゃったのか成長しちゃってるし。
この世界に来た時に全部清算されてて良かったと思ってた矢先にコレだよ。
もう、まったく!
人生、ままならないもんだね!
まぁ、私の役に立つから良いけど。
さて、その暗殺者とその依頼者をコレから見てみたいと思います!
え?
それこそストーカー行為だって?
元魔王の私にそんな人の言葉が意味があるとでも?
第一、乙女の柔肌に傷を付けたんだから落とし前を付けて欲しいし。
それにもう、両方共、特定済みなんですよ!
さぁ、覗いちゃいましょう!!
〜 〜 〜 〜 〜
「このクソヤロウがぁ!!」
ボシュ!
男がボロボロになったものに蹴りを入れながら悪態を吐く。
腹立たしい!!
高い金を払って雇ったのに暗殺に失敗しよって!!
大体、あんな小娘を連れて来んでも勇者はこの世界にも存在するだろうが!!
ボシュ!
本当に使えない!
忌々しい女神め!
どいつもこいつも儂の邪魔ばかりしおって!
ボシュ!
ベチャ!
「あぁ、汚いぃ!」
あぁ、汚らわしい!
こいつの所為で靴まで汚れてしまった!
ボシュ!
ボシュ!
ボシュ!
こいつの所為で、こいつの所為で、こいつの所為でぇ!!
ダン!!!
「ぐぁぁぁ!
あ、足がぁ!!」
何かに足が挟まれ激痛を感じた。
まるで獣に噛み付かれたような激痛。
『いや〜、見るに堪えないや。』
「だ、誰だぁ!!??」
この部屋には儂とゴミ以外には誰も居ない筈だ!
『うん?
まぁ、悪魔とでも名乗っておこうか。
うん、今から君の全てを乗っ取るから。』
「ふざけるなぁ!!
貴様、出てこい!」
儂は悪魔と名乗る痴れ者を探そうと首を動かしたがすぐさまそれは無意味になってしまった。
闇、そうとしか言え無いものに包まれて儂の意識は終わった。
『はい、完了。』
最後の、悪魔と名乗った者の言葉がやけに近くに聞こえた。