第二百二十三話 私、傀儡の気配が消えた事を感知しました。
「え?
あれ、え、嘘?」
目の前でドラゴンの鱗剥がしをしてた私は驚いた。
あぁ、別にドラゴンの鱗に驚いた訳じゃないよ。
え?
なんで鱗を剥がしてるのか?
なんと、これが良い素材なんだよね。
思いっきし魔力で強化しないと加工も出来ないし、かと言って硬いだけじゃないんだよ。
絶妙な弾力性も備えてあるんだよ。
例えて言うならばダイヤとスーパーボールを掛け合わせたような感じかな?
今の強化具合なら下級の神様も一捻り出来るまで強化してるからね。
相当な物だよ。
うん、やっぱドラゴンは世界共通で良い素材の宝庫なんだねぇ。
魔王時代のドラゴンの骨や鱗で作った鎧は凄い性能だったからね。
武神の連打にも傷一つ、凹み一つも出来なかったしね!
衝撃は鎧の中に全部伝わって肉と血と骨と後色々な物を混ぜたミックスジュースと化しちゃったのをよく覚えてるよ。
まぁ、過去の思い出よりも今の話だね。
簡潔に言うと傀儡の気配が消えた。
死んだ訳じゃ無いと思う。
うん、死んでも目の前のドラゴンのように《再誕》で生き返るからね。
配下としての魔力の繋がりで最後に居た場所は分かってるからね。
そこを《時空間》を使って過去を見れば何が起こったのか分かるはずだし。
・・・はい?
あれ?
えぇ!?
おぉ、なんかヤバイ!
私が見た感じを説明すると。
傀儡、空を爆走する。
うん、爆走してた。
どのスキルの組み合わせか分からないけど空中を笑顔で完璧なフォームで爆走してたよ。
・・・うん、ここからまずあり得ない光景だね。
傀儡ならやりそうだけど。
そして傀儡が爆走する手前の空間に歪みが生まれてそこに傀儡が突っ込んだ。
それで消えた。
説明、終わり!
うん、分かるけど分かりたくないよ。
あの歪みって次元の歪みだと思う。
魔王時代にも見たから多分それだと思うんだよね。
次元の歪みってのは世界と世界の間に出来る穴みたいな物で。
なんで起こるのかは私にも分からない。
唯、次元の歪みを越えると別世界に到着する事は知ってる。
魔王時代の時も別世界の化物が入って来て大変だったよ。
一定時間を置いて増殖し続ける奴だったからね。
危うく世界が覆われちゃうかなって思ったもん。
まぁ、私と神々が協力して存在を消し去って事無きを得たんだけどね。
傀儡は別世界に入ってしまったという訳だね!
ステータスやスキルの存在しない世界だったら傀儡も弱くなるはずだし。
第一、真面な判断が出来ないからあのままの強さで行ったら別世界を滅ぼしかねないし。
色々な不安が頭をよぎるね。
でも、まぁ、死んだらこっちの世界に戻れるはずだし。
うん、魔王時代の時も次元の歪みを調べる時も勇者に捨て身の調査を行わせて無事《再誕》で戻って来たし。
大丈夫、だよね?
面倒事が起きる予想しか出来ないけど、本当に大丈夫だよね?
世界戦争とか発展しないよね?
どうしよ、心配になってきちゃったよ。
でも何処の世界に行ったか私も分からないし。
うぅ、本当にどうしようも無いよ。