第ニ十ニ話 私、知らない人に絡まれました。
「おい、お前が召喚された勇者か?」
「はい、そうです。
貴方は誰ですか?」
私がレガリアさん達の騎士と試合をしていると太めの男が偉そうに声を掛けてきた。
えっと、誰?
「こんな小娘が勇者とは片腹痛い!
しかもレベルが0だとはな!
本当に無駄な存在だな!!」
「はぁ。」
えっと、私、罵倒されてるの?
なんで?
てか本当に誰?
「勇者様がレベル0だって?」
「いや、嘘だろ。」
「うん、あんなに強いしな。」
「レガリアさんと引き分けだもんね。」
後ろから騎士達がざわめいてるし。
いやレベル0なのは本当だけどさ。
それにレガリアさんを引き合いに出してるけど違うから。
木剣が折れたからどうか分からないんだから引き分けとか言わないで。
私、レガリアさんの攻撃を防いでいただけだから!
絶対レガリアさんの方が強いから!
「なんでここに居るんだ、ザガーリン?」
「あぁん?
おいおい、なんでテメェから声を掛けてんだよ、レガリア・ディーバードさんよぉ?」
何、この人!!
レガリアさんにガン飛ばしてる!?
背がレガリアさんより低いから下からだけどさ。
偉い人?
この人王子かなんかなの!?
でも王様に似てないしなぁ。
「今、勇者は私が鍛えてるんだ。
邪魔をするな。
ザガーリン。」
いや、全然鍛えてないですよね、レガリアさん!!
今まで騎士の人達とレガリアさんとの試合しかしてませんよ?
なんですか、実戦で鍛えるんですか?
レガリアさん以外には圧勝でしたよね、私。
「鍛えてるだぁ?
俺には手加減してそいつに勝たせてるようにしか見えないがな!」
え?
そうだったの?
「だいたい、レベル0の無能が勝つ筈が無ぇだろ、レガリア・ディーバードさんよぉ?」
「やはり、貴様には見る目がないのか?」
無能、ねぇ。
私が元魔王で死んでも生き返る奴が無能って言わないと思うけどね。
「絶対、レベル0じゃないだろ。」
「あの剣術、異世界で二つ名とかあると思うんだけど。」
「勇者に手加減とか無理だよ?」
いや、本当にレベル0だよ?
剣に関しては二つ名、魔王時代の称号みたいなものだよね、なんて持ってないし。
そしてアレが本気なのか騎士の皆さん。
あれじゃ私の育てたゴブリン一匹に蹂躙されちゃうよ?
「それにしても女としても駄目だなぁ。
そんな体じゃ誰も振り向かねぇな!」
あ?
コイツ、ナンテッタ?
「確かにまだ小さいが『成人の儀』までにはあたしの様な体に近づけるつもりだぞ。
第一、こんなに細いが貴様よりは強いぞ。」
「あぁん?
何言ってんだ、テメェ!?
俺がガキより弱ぇってか!!」
レガリアさん、よして下さい。
二重の意味で遠慮して下さい。