第二話 私、王に会いに行きました。
「勇者様、私は魔導士マルザン・ベルベゴートと申します。
勇者様の名前を聞いても宜しいですかな?」
「はい!
私の名前は早乙女 雫です。
早乙女が家名で雫が名前です。」
おぉ、お爺さんはローブを着ていたから魔法使いの人だと思ってたけど私の予想が当たったね!
やっぱ、ローブを着た人イコール魔法使い系ってのは世界が変わっても同じなんだね。
「分かりました。
サオトメ様、今から我らが王、グフ国王に挨拶に行きたいと思いますが、体調は宜しいですかな?」
「はい!
何処も悪くありません。」
今度は王様に謁見!
召喚から王へと謁見に行く。
ゲームのシナリオみたいじゃないですか!!
私、そういうの大好きですよ!
王道だからね!!
私も『勇者よ、死んでしまうとは情けない』なんて言われて復活の呪文を言われると思うと興奮する!
「では着いて来て下され。」
そう言ってベルベゴートさんが扉に向かうと近くの鎧を着た人、多分、騎士の方が2人掛かりで扉を開けました。
その扉結構重そうですね。
流石はお城の扉ですね!
「ありがとうございます。」
私はすれ違いざまに騎士の方にお礼を言いました。
ちゃんとお礼は言わないとね!
兜で顔は見えなかったけど重そうな扉を開けたから汗だくになってるのかな?
私が召喚された部屋から出た後も騎士の方やメイド、執事らしき方にも挨拶をしました。
これからお世話になるのならちゃんと挨拶は出来ないとね!
でも返事は戸惑ったような顔をされた。
う〜ん?
この世界には挨拶の風習は無いのかな?
「サオトメ様、グフ国王の御前では私と同じ場所まで行き、質問にも丁寧に答えてもらえますかな?」
「はい!
他に注意する事はありますか?」
王の前で失礼な事をしたら私の勇者生活が台無しになってしまうかもしれないからね!
第一印象は良い方が得だよね!
見た目と態度のダブルパンチ、効果抜群だ!
「そうですな。
我らの世界の文化とサオトメ様の世界の文化は違うものと思いますから何かあれば私が対応しましょう。」
「分かりました。
お願いします。」
そうベルベゴートさんと話していたら2人の騎士が護っている部屋に着きました。
結構近い。
「魔導士様!
その方が勇者様ですか!?」
おぉ、元気な騎士の方ですね!
「うむ、この方が勇者ですな。」
「分かりました!
では謁見の間へお通り下さい!」
私とベルベゴートさんは謁見の間に入りました。
両脇には偉い人だと思われる方々が居て、その奥に大きな椅子に座っている男女が王と妃なんでしょうね。
なんか嫌な視線を感じる。
うん、歓迎なんかしたくない人も居るよね!
悪役が酷い程主人公が映えるからね。
主人公の足を引っ張る脇役も必須だよね!
「魔導士ベルベゴート様、勇者様が来られました!!」
ひゃ!
びっくりした〜。
元気な騎士の方が突然大声で私達の入って来た事を言いました。
「サオトメ様、参りましょう。」
「はい!」
この圧迫感、私を見定めているみたいだ。
ここは堂々としないと元魔王の名折れだね!
さぁ、行こうか!!