第百九十八話 私、転生者の前世の記憶をを読みました。
俺、大沼 燐童はエリートだった。
そう昔はエリートだった。
生まれは有名な金持ち財閥の一門。
頭も割と良い方で有名な大学を首席で卒業した。
そして財閥が関係している会社に入社。
そして調子良くトントンと上を駆け上り気付けば親父を押し退け財閥の代表までなっていた。
口の悪い奴は親の七光りだと言うが親父に頼み込んで平社員から入社させてもらった。
汗水垂らして必死に上を目指して我武者羅に頑張った。
ひとえに財閥を大きく成長させたいと。
世界の天辺を目指したいと幼い時に思ったからだ。
だから昇格の全ては俺の努力の結果だ。
俺が代表になった暁に財閥の資金管理を一から見直し投資、物流、保険、医療、介護、保育、土木、教育、政治、食品、科学、工業、農業、宇宙・・・
様々な分野に手を伸ばしその総資産で世界を牛耳る事の出来る程まで成長させた。
出る杭は打たれる。
俺の財閥の総資産を狙ってテロリストが襲撃しやがった。
それ自体には殆ど被害が無かった。
しかし、それ以来、世間の目が一門に向けられた。
テロリストが襲撃する理由は一門に対する物だったからだ。
俺の知らない所で色々とやっていた。
人身売買、高利貸し、違法薬物研究、脱税、商品偽装、犯罪グループとの繋がり、詐欺行為・・・
叩けば埃がいくらでも出た。
俺は一転して巨悪の黒幕扱いだ。
そして最大の悪事が二つ発覚した。
一つは、選民思考に塗れた老害共が凶悪な生物兵器で世界を滅ぼそうとしていた。
一つは、不老不死が得られると思い込んで悪魔信教に嵌り込み総勢約1億人の赤ん坊を喰らっていた。
関係した犯罪者を全て刑務所に送り込んだら刑務所に入りきれないぐらいまで人数が膨れ上がった。
新しい刑務所をポケットマネーで払って数箇所を急遽、建てさせた。
そして、俺は独断で財閥を解散させた。
解散せざるを得なかった。
世論が財閥の一門を死刑にしろと暴動が起きたからだ。
確かに一門から犯罪者が出たが全員が悪に染まった訳ではない。
老害共は煮たり焼いたりしても良いが生まれが一門の身内だと言う理由で処刑されるのは可笑しい。
だから孤島を買い取りそこを人の住める環境に整えた。
そこに犯罪を犯さなかった一門を送り雲隠れさせた。
親友に島の管理を頼んだ仕事も与えてるから餓死とかはしないだろ。
俺は一門が生き残れるだけを残し総資産を世界に寄付した。
一門の技術、知識、財産全てを公平に各国の代表に渡した。
そして、今後どう活動しようかと悩んでいると暴徒と化した一部の人々に遭遇し逃げに逃げてその後は、記憶が無い。
俺は死んだんだろう。
気付いたら身体が縮んでいて森に居た。
ある部下が言ってたラノベのジャンル、転生物に類似していた。
異世界、だとは思う。
なんせ、化け物が居たしな。
必死な思いで逃げた。
そしてある人に会って俺は助かった。