第百九十七話 私、転生者を見つけました。
私が猿とスキルの実験をしていた頃、静と忍は孤児院に遊びに行ってた。
城下街の子供達が遊べる数少ない国営の場所らしいから沢山の子供が居たからそこに行ったんだろうね。
もちろん、二人には物影から人形が護衛に付いてる。
咄嗟に何か問題があれば出てきて対処してくれる。
人形にはあの子が潜んでるから情報も私に流れてくるしね。
その孤児院は地下水路で連れ去られた子供達が何名か居た。
そして、そして、その一人が孤児院でガキ大将をやってた。
そして、まぁ、初めて見る静と忍に興味を持ったんだろうね。
近付いて来て少し問答が有って静がガキ大将の腕を掴み物理的に振り回した。
それでガキ大将も心が折れたようで今ではすっかり一緒に遊んでる。
鬼ごっこ、達磨さんが転んだ、氷鬼、椅子取りゲーム、ドッチボールなどなど。
私が教えてた大勢で出来る遊びを子供達に教えて遊んでた。
静は話せないし忍は他の子よりも大きいから心配してたけど大丈夫そうだった。
子供の順応性の高さが功を奏したんだろうね。
静はレベルを上げて得た超人的なステータスで。
忍は忍者の様に姿を消したり現したりする事で子供達から人気を得た。
まぁ、見た目も私が自慢する程、可愛らしい女の子だからね。
何人かの男の子は顔を赤らめてたり、イタズラしようとしてた。
可愛い女の子に赤面するのも分かるし気になる子につい手を出してしまうなんて事もよくある事だ。
物影から人形が出て来て対処したり、二人が返り討ちしたり、してたけどね。
お母さん、安心だわ。
それでちょっと気になる男の子が居た。
その子は中性的な顔付きで黒髪黒眼で。
遊び始めた二人を見て慌てて近付いて来て興奮した様子で話しかけて来た。
ただ、その言語が問題でね。
日本語だったんだ。
話を聞くと最近新しく入って来た子で話したのは初めてだと周りの子供達が騒いでた。
そして、その子の顔付きが、妙に作り物みたいに感じた。
まるで大人が子供の振りをしているような感じでね。
私、ピンと来ちゃいました。
こいつ、転生者だって。
魔王時代には日本人の転生者は見かけなかったけど別世界からの転生者は一定数居たからね。
確か、魂の循環が目的だったと思うんだけど。
一つの世界に居続けると魂が摩耗して壊れてしまうらしい。
魂を作り出すには手間が掛かるからそれを防ぐ為に他の世界にも送り出す。
その中で神様が抽出した人は記憶を保ってチートな能力を授けて送り出す。
それを転生者って呼んでた。
主にその世界へのイタズラ及び娯楽の為にね。
私は邪神を生かす為に同じ姿で異世界に転生されたけどね。
話は戻すけどその転生者の特徴は成長すると生前の姿と似た、或いは同じ姿に成るんだよ。
そして私は城下街で黒髪黒眼の人は見掛けた事が無い。
ようするにその男の子は転生者だろうって話だね。
彼は執拗に娘達に話し掛けている。
地下水路の時、私が孤児院の子供やシスター、ブラザーを配下に加えた。
なのに彼は私の配下では無さそうだし本当に最近らしい。
さて、どうしようかな。
あ、静のアッパーが決まった。