第百九十三話 私、黄色の猿を召喚しました。
山よりも大きいエルフはあの領地に渡すと問題が起こりそうだね。
亜空間に入れておこう。
青白い肌の集団は・・・え?
土を食べるのが好き?
えーと・・・種族は・・・ノーム?
・・・取り敢えず土に入れておこう。
亜空間で土を大量に入れてっと。
ドラゴンは・・・どうしよう。
これも亜空間に入れておこう。
黄色の猿は・・・うん!
これは魔物だと思うね!
なら話は簡単だね!
取り敢えず召喚しよう。
でもこいつの尻尾を引っ張りながら《魔王の契約》と《狂人の祟》を同時に使ったんだけど他の一匹も手に入らない。
何、単独の魔物なのかな?
「あぁン?
オメェ誰ダ?
なんかオレっちのナワバリをスルーしたバケモンに似てるナ!」
え、なんか軽いのが来たよ。
背も私の頭一つ大きいぐらいだから普通のチンピラみたいな魔物だね。
猿だけに頭が悪いのかな?
こんなのを目の前にしたら真面目にやりたくなっちゃうね。
そしてバケモンって傀儡の事かな。
魔物相手から化け物扱いだなんて・・・納得の言葉しか出ないね!
私から見ても人間を辞めてるからね。
普通の感性で見れば狂気以外の何者でもないでしょ。
あれ、この魔物は普通の感性なのかな?
「あなたの主人になった者です。」
「おぁ!?
何チョーシこいてんダ、テメェ!?
毛のねぇサルがイキガッてんじゃねぇゾ、コラ!!」
私、ガン飛ばされてるよ。
でも怖くない。
表現が三流のチンピラだ。
これなら日本で逢った変態ロリコンストーカーに追いかけられた時の方が怖いね。
いや、恐怖の方向が違うかな。
力士並みの体型の男がヨダレを垂らしながら片手に首輪やメイド服を持って追い掛けて来るんだよ。
これ、小学生の出来事だからね。
普通はトラウマ物だよ。
ちょっと煽り過ぎただけなのに大人気ない。
ちょっとオンラインゲームでボッコボッコにしたら私の家を調べ上げてストーキングしてきて。
私から変態を見つけ出してから警察に通報して。
もちろんその時の会話をゲームで記録してたから証拠はバッチリ。
会話の内容?
相手をからかう言葉しか言ってないけど?
一時的に逮捕されたんだけど変態が逃げ出して。
そして夜中に追い掛けて来る所に話が繋がるんだよ。
私はその変態に追いかけられた後、色々とあって最後には鉄バットで変態の急所をフルスイングして気絶させて警察に通報したけど。
捕まえに来た警察が股間を抑えながら手錠を掛けてた時に大笑いしちゃった。
「オイ、きぃてんのか、コラ!!」
「口を閉じて。」
「ムグ!?
ムームー!?」
命令で口を塞いじゃった。
あはは、だから私の配下だって言ったよね?
それにその下品な話し方、好きじゃないんだ。
あぁ、あの口の悪い勇者を思い出すね。
人の胸を見てあんな言葉を吐けるなんて勇者として失格じゃないかな。
「ねぇ、あなたは魔神について知ってるのかな?」
「・・・」
ふ〜ん、知ってるんだ。
目が泳いでるし無言が答えだよね?
それじゃ狼の魔王の所にも連れて行こう。
そう言えばこの猿はなんだろうね?
もしかして・・・。
「あなたは魔王なのかな?」
「ムゥ。」
あ、自信満々に頷いてる。
この猿は私が魔王を怖がる小娘だと思ってるのかな?
ごめん、魔王は猿を含めて4体目なんだよ?