第百八十四話 私、迷宮の最奥の扉に着きました。
私と静、忍そしてヤハルさんは最奥の壁に行き着いた。
『とびら、あった。』
『そうだね。』
だけどその扉には一部分にぎっしりと幾何学的な模様が描かれていた。
まぁ、先に《時空間》で確認はしてるんだけどね。
「これは・・・魔法文字!?
な、何故こんな場所にあるのでございましょうか?」
そう、魔法文字。
ヤハルさんはその魔法文字を凝視している。
文字自体に力を持っているから声に出して読めば何かが発動するかもしれない。
そんな危険があるから魔法文字と分かっても声に出してはいけないからね。
それに魔法文字は神の文字。
おいそれと声に出して言う訳にはいかない。
ヤハルさんから教わった事だね。
内容も《時空間》で確認済みだよ。
難しく遠回しに書いてあったから簡易に説明をすると。
『ここは試練の場である。
この先は資格の無き者を外へと帰す。
資格を持つ者は自分に打ち勝つべし。』
だったかな。
「資格を持つ者、それはどういう意味でございましょうか?」
「推測ですけど、ここは試練の場と魔法文字で書いてあったから資格とは神の加護のような物だと思います。」
私も扉を見てたから魔法文字を読んだとヤハルさんも思ってくれるよね?
「神の試練・・・でございますか?
もしや女神メカルーネ様の眷属、試行者リド様の試練の事でしょうか!?」
あれ?
ヤハルさんはもうリドさんの事を知ってるの?
もう広まってるのか。
情報伝達が早いね。
でも私には伝えられてないよね?
リドさんの事は知ってるけど聞いてみようかな。
怪しまれないためにね。
メカルーネさん達に会ったなんて言えばヤハルさんが気を失っちゃうだろうからね。
「あのヤハルさん。」
「はい、女神メカルーネ様の眷属、試行者リド様の事でございましょう。」
あら、私の考えが分かるの?
以心伝心なんて嬉しいね。
「数日前、女神メカルーネ様が新たな眷属を創造なされたのでございます。
新たな種族の『ドッペルゲンガー』を従えて現れたのでございます。
一生に2度も新たな眷属の方の御誕生に出会えて感激極まりない思いでございます。」
あぁ、1度目はコルさんの事だよね?
多分、これからも新しい眷属は増えると思いますよ?
メカルーネさんが私に頼る未来が容易く想像が出来るからね。
「それじゃあ帰りますか。
その扉を潜れば外に出られるみたいですし。
外に出れば私の不思議な道具でお城まで帰れますから。」
「はい!
・・・シズク様、最初からその魔道具で帰れたのではないでしょうか?」
「いえ、最初に試したけど無理でしたよ。」
即答しちゃったけど試してはないんだよね。
でも、神界から送り出されるような強制力を感じたからね。
《時空間》でこの迷宮から出られたとは思えないんだよ。
優先度はこの世界の神様の方にあると思うしね。
ここに資格を持った人は居ないから大丈夫で・・・あ!?
私が資格を持ってるかもしれない!!
ほら、リドさんの加護《負荷》を持ってるからね。
えっと【マイムパペット】で人形を作って対応しておこう。