第百七十二話 私、蟲人の国から画家を探しに来ました。
画家を探しに私が《時空間》で作った亜空間、蟲人の国に来ました。
そこは樹々が生い繁る大自然の中、天をも突かんとそびえ立つ巨大な壁が有った。
え?
何これ?
私、こんなの知らないよ?
しかも亜空間が膨らまないギリギリの距離まで大きい壁だよ。
サステラ達は城壁でも作ったのかな?
ここ、蟲人以外、居ないから外敵なんか居ないよ。
あー、材質は・・・土っぽいね。
サステラに渡した人形が作ったのかな。
【アースボール】とか【土壁】とか渡してたしね。
それよりもどんだけ高い所が好きなのかな。
天辺が霞んで見えるよ。
高さの上限を越えてないか心配になるね。
私の作った人口太陽擬が眩しいや。
あー、ずっと上を向いてたら首が痛めそうだよ。
実際はレパさんの加護『不変』で痛めないだろうけどね。
・・・入り口を探しながら回ろうかな。
あー、いやここは配下に使える念話をしよう。
相手は勿論、私の娘!
『おーい、純ちゃーん。
私、来たよー。
今、壁の外に居るから迎えに来てー。』
そう、見た目は小学生ぐらいのアルビノ、不浄蟲の魔王、私の娘の純を呼ぼう。
『は、母上!?
壁と何処に?
・・・は!
分かりました!
今、参ります!』
うん、念話で連絡が付いたし私はここで待っていよう。
サステラに画家探し以外に何を頼もうか考えていると突然、周囲が夜のように暗くなって何かの雑音が聞こえ出した。
上を向いてみると今まで燦々と輝いていた人口太陽擬が見えなくなってた。
え、何これ、何が始まるの?
スキル【夜目】に魔力を流して目を凝らして見ると分かった。
全部、羽根のある蟲人だった。
あれ、こんなに大量に蟲人って居たかな?
卵なら大量に有ったけどさ。
蟲人はサステラを含めて10人も居なかったよね?
「・・ぁ・・ぅ・ぇーーーーー!!!」
今、純の声が聞こえような。
それと同時に蟲人の集団は急降下をし始めた。
「ちょ、え、待って、待って。」
上空の蟲人達は私の配下にもなって居ないようで無慈悲に落ち続ける。
え、そんなに上空から急降下したら止まれなくて地面に激突しちゃうって
グチャグチョになって死ぬって!
そんなに自殺願望が強いの?
ちょ、止まれー!
私の思いも届かず蟲人達は落ち続ける。
えっと、えっと、あ、そうだ!
【蟲の女王】に魔力を流してっと。
「直ちに急降下を止めて!
地面に激突しないように滑降して!」
蟲人達は急降下する速度を落として壁の周りに沿って移動し始めた。
どうやら、作戦名『【蟲の女王】で命令しよう』は上手くいったみたいだ。
とりあえず上空を滑降してる蟲人達に《魔王の契約》で配下にしないとね。
本当、何処から来たのやら。