第百六十七話 私、挨拶に来る貴族の様子を見ました。
今、ふと思ったんだけど普通は私が貴族の人に会いに行くものじゃないかな?
ヤハルさん、呼びに行ってるよね?
えっと、いいのかな。
歓迎の準備を終えて《時空間》と【鑑定】で貴族の人を見てそんな現実逃避をしてた。
だって、ヤハルさんの後ろからついて来てる人っていうか人数がおかしいもん。
先頭は10代ぐらいの大人しそうな赤毛の男の子とその子にそっくりの若い赤毛の女性のペア。
次は赤ん坊を抱いてる四十路のハゲたオジさんのペア。
今にも倒れそうなヨボヨボのお爺さんと幼い孫と思われる活発そうな金髪の女の子のペア。
仮面を付けた男性とも女性とも判断できない人。
最後に訓練所でレベル50になったら戦ってやると言って来た太ってる人とそのふた回りもお腹が大きい男性のペア。
ヤハルさん、5人って言ってたけど9人居ますよ。
あと、今日のは勇者と貴族の大切な挨拶ですよね?
何、子供とかを紹介しに来たの?
この王国に挨拶の時は子供を連れて来るのがしきたりなの?
まぁ、冗談はこれぐらいにしといて。
【鑑定】でスキル欄を見てるんだけど5人が???表記のスキルを持ってた。
ただ、持っている人が幼い子供だったりお爺さんだったりしてるけどね。
うん、本人が挨拶をするには難しいから連れ添いの人も来たって事なんだろうね。
まぁ、罠に嵌める事には変わりないし良いかな。
そろそろ部屋に入るみたいだけど特製のキャンドルを焚くのは止めとこうかな。
実は入ってくる直前に【麻痺付与】を使ったキャンドルを焚こうと思ってんたんだ。
吸ったら最後、麻痺になるって寸法です。
ゴブリンで試したから間違いなしだね。
赤ん坊やお爺さんが居るから麻痺で心臓とか止まりそうで怖いから止めとこう。
あとは石化の方に頼るしかないね。
この部屋の空間に【耐性欠如】を【エンチャント】で付与してる。
この部屋に入ったら耐性スキルは無意味に変わるんだよ。
この私以外はね!
私の周囲の空間は除外です。
ふ、ふ、ふ、《時空間》を持つ私だからこそできる芸当なんだよ。
そして《時空間》を併用していたる所から私の視線が通るように繋げてる。
耐性を下げてるから【誘いの瞳】や【廃石の邪眼】で完全に状態異常にできる。
今回は魅了よりも石化にしてる。
これで《魔王の契約》を抵抗できないね。
さぁ、早くおいで。