第百六十話 私、リドさんに会いました。
ーーー我が身体、我が心、我がーーー
メカルーネさんの呪文を唱えながらあの動きをやってる。
飛んだり、回ったり、ステップを踏んだり。
・・・えっと、本当にその行為に意味があるのかな。
ーーー我が眷属らに試練を与えんーーー
今回は十二単に足を取られずに舞踊ってる。
呪文の内容もコルさんの時とは違うような気もするね。
ーーー【眷属創造】!!!」
新しいメカルーネさんの眷属の姿が現れた。
ロネさんと同じように2、3歳頃の変な格好の子供が現れた。
顔を全部覆う仮面を被っているし2、3歳じゃ男女の身体の差異も無いから性別が分からないね。
首には無骨で大き過ぎてブカブカの首輪をはめてた。
服はボロボロの貫頭衣を着ていて、その腕からは鎖が、足元からは足枷のような物が覗いてる。
えっと、メカルーネさん、あなたはこの子に何をさせるつもりなんですか?
如何わしい事をさせるつもりですか?
試練の要素は何処にあるの?
奴隷って言葉が浮かんできたんだけど。
「さぁ、起きるがよい!
我が眷属、試行者リドよ!」
「我、主、認識。」
はい?
片言?
いや、それも違うよね。
なんかロボットみたいだね。
「う、うむ。
話難いがまぁ、よかろう。
試行者リドよ、我が記憶を元に種族を創りこの世界に放て!」
「承知。」
リドさんはメカルーネさんから顔を背けて私の方を見てきた。
そしてその隣にリドさんと全く同じ人影が現れた。
「命名、『ドッペルゲンガー』。
生息地域、我、指定。」
ドッペルゲンガーってあの姿を真似する奴かな?
それって種族としていいの?
「うむ、でかしたのじゃ!
アンはこのドッペルゲンガーを記録するのじゃ!!
テルよ、早速、試行者リドとドッペルゲンガーの存在を伝えるのじゃ!!」
あ、いいんだ。
「汝、負荷、授与。」
「はい?」
私に向かってリドさんが何かを言っていた。
え、私に何かくれるの?
「効果、試練、迷宮。」
「へ?」
試練?
迷宮?
もしかして神の試練の事なのかな?
私が受けろって?
えぇ〜。
あれ、なんか意識が遠のいていく。
「おぉ〜、このレアチーズケーキとやらはとても美味じゃ!
褒めて遣わすのじゃ!
其方よ、現世に戻った時に驚くかもしれんのう。
このリドの奇跡で新たな物が生まれている筈じゃ!
上手く活用して強くなるのじゃぞ!」
あ、神界から出るって事ですね。
「分かりました。
では今回はこれで失礼します。」
起きたら色々としないといけないね。
私はそう思いながらメカルーネさん達に手を振った。
そして私は意識を失った。