第百四十六話 私、スピリットを召喚しました。
さて、私はハイテンションです。
ほら、徹夜してたら次の日は壊れたテンションとかあるじゃん。
それだよ、それ。
私は興奮冷めやらぬ状態だよ。
なんでかって?
事の始まりは狼の魔王の夢から出てお城に帰った時のことだよ。
【マイムパペット】で私の影武者として作った人形が有ったよね。
あれを取り出してふと思ったんだよ。
もしもこの人形に【スピリット召喚】の材料として使用すれば私に似たスピリットが召喚されるんじゃないかって。
善は急げとばかりに早速試してみたんだ。
何が出るか分からないから《時空間》の亜空間でやってるよ。
人形の足元に光の円が描かれその円が上に上がると円柱の光が人形の姿を覆った。
どうやら無事に発動出来たみたい。
スキルレベルは10まで上げてるから最高位のスピリットが召喚される。
さてどんなスピリットが出てくるのか楽しみに待ってたんだ。
数分ぐらい変化はなかったけど次第に円柱は細くなっていった。
だんだん円柱から人型になって。
人型からスーパーモデル並みの体型になった。
なんだろうね、主張の激しい身体つきだよ。
私に対する嫌味かなとか思ってたけどそうじゃなかった。
顔の特徴やほくろなんかの細かい部分まで作られていった。
八頭身でボン、キュ、キュなスタイル。
余分な脂肪が全部胸に行ったような体だったよ。
光が鎮まり現れた妙齢の女性が立っていた。
そして私は気付いた。
私に似ているんだよ。
顔や髪、目の色なんか私にそっくりだった。
私を10歳大人に成長した姿じゃないかって。
28歳の女盛りの私。
凄い、綺麗だった。
幼さが無くなって大人の落ち着いた色気や知性を感じる人だったよ。
裸ん坊だけどエロいってよりも神聖な感じがする。
そして今。
これが私の興奮している理由だよ。
いや〜、私ってこんな大人に成長するんだね。
スーパーモデル並みの美人さんだよ。
「うへ。」
「え?」
「イィヒヒヒヒヒヒヒヒッ!!」
「ふぇ!?」
え?
何これ。
今、私は目の前の出来事に追いつかないよ。
立ったまま全身を揺らして狂ったように笑い始めた。
長い髪と大きな胸を振り回しながら狂ったダンスをしている。
私、この風景が初めてじゃないよ。
でもあり得ない。
まだ条件は満たしてないはずなのに。
なんであの子が出てきたの?