第百四十三話 私、魔神の事を配下に聞きました。
魔神とは何者なのか。
私がこの世界に召喚された理由は魔神討伐だ。
この世界の神も倒したがっているけどどんな存在なのか私は知らない。
あの邪神よりも格下の存在だとは思うけどね。
でも何一つ情報が無いと分からないんだよね。
本当に倒していい存在なのか。
メカルーネさん達を信じないって訳じゃない。
でも真実ってのは自分で探さないとやっぱりいけないと思うんだよ。
と言うわけで今、《時空間》で作った会議室にゴブリンの魔王と不浄蟲の魔王を呼んだよ。
「離せ離せ離せーーー!!!
人間風情が妾に触れるな!!!」
「ふ、ふ、ふ。
純、暴れちゃダメだよ〜。」
不浄蟲の魔王は私の腕の中で暴れてる。
私の腕に噛み付いたり引っ掻いたり蹴ったりしてるけどレパさんの加護『不変』で痛くも痒くも無いね。
腕力も魔力で強化してるから逃げ出せないしね。
そうそう不浄蟲の魔王は名前が無いみたいだったから早乙女 純って名付けたよ。
純は私が付けた名前を凄い嫌がってたけどね。
名前の意味も清らかって意味だし私から何かを貰うってのが嫌みたい。
でも手の掛かる子ほど可愛いって言うのか、見た目は可愛らしく嫌がるからついついからかいたくなるんだよね。
名前も渡したし私の娘として扱おうと思う。
今度、静と忍にも紹介しよう!
サステラ達に純の事を聞いたら態度は大きいけど蟲人を見下していないし、汚れた所を綺麗に掃除してくれた良い子って言ってた。
多分、純は汚れれば汚れるほど強くなるスキル【不浄なる心身】が使えると思って汚れようとして【潔癖】が発動してたんじゃないかな。
確か【潔癖】の効果は不潔になると自身と周りの汚れや穢れを消すんだよ。
汚れたらその度に綺麗になるのにね。
どっちにしろ【不浄なる心身】は私が封印してるから使えないけどね。
サステラが言うには人間ってば蟲人を見下す人が多いんだって。
純は元々不浄蟲の魔王だからね。
似た者同士って訳だね。
「ほら、良い子にしてたらさっきのくさやをあげるよ〜。」
「あ!?
さっきの美味なる物か?
くれくれ!」
純って臭い物が好きらしいから魔力でくさやを作って渡したら大喜びで食べてたからね。
私を警戒して遠くから近づいて来なかったからくさやで誘き出したんだ。
最初はチラチラと見るだけだったけど臭いに負けたのか少しづつ近づいて来てひったくるようにくさやを取って食べてたからね。
「ほらほら〜、純、私に言うことがあるんじゃないかな?」
「ぐぬぬ。
は、母上、妾は、い、良い子にしておりますので、ち、ちょうだぃ。」
悔しそうな上目づかいで純が私にねだってきた。
威力が半端ないよ。
「うは!
この可愛い奴め!」
「妾に頬ずりをするなーーー!!!」
「ほら、純、くさやあげるね。
ダニエル、魔神の事を教えて。」
私の腕の中で一心不乱にくさやを頬張る純の頭を撫でつつゴブリンの魔王、ダニエルに聞いてみた。
「はい。
魔神とは貴女様の事でしょう。」
はい?
私が魔神ってどういう了見なのかな。
なに、私は魔神みたいな存在って言いたいのかな?
・・・元魔王だから否定はしないけど。
「いや、君を生んだ張本人だよ?」
「それは貴女様でしょう。」
えっとどゆこと?
これはもしかして、もしかすると。
「ねぇ、ダニエルは私以外に魔神と呼ばれてる存在に会った事がある?」
「いえ、貴女様以外にはありません。」
まさかの会ったことが無いのね。
ゴブリンの魔王だから生み出したままあそこの森に送り込んだだけとか?
今回は役に立ちそうに無いね。
「ふぅ。
美味であった。」
「ねぇ、純。
条件を満たしたらくさやが出てくる道具を作ってあげるからちょっと良い?」
「な!?
も、もしやあの甘き蜜を生み出す秘宝を褒美にか!?」
秘宝でもなんでもないけどね。
「ふふ、期待してね。
純は魔神って知ってる?」
「魔神?
妾も聞き覚えが無いぞ。
それより早う作れ!」
う〜ん、純も知らないのか。
私には嘘がつけないしね。
そしたら後はあの寝坊助狼か。
ナイトメアで入り込んで聞いてみようかな。
「早う早う作れ!」
「私に言うこと言ったら作ってあげるよ〜。」
「母上、早う妾に褒美を!!!」
ふへへ、ちょろいな。
今度は必死な表情での上目づかい。
可愛い奴め。
「妾に頬ずりせずに早う褒美をくだされ!」
私はその後、飽きるまで純を可愛がってくさやを作る道具を作った。
条件はどうしよっかな。