第百四十話 私、客人を石に変えました。
私の目の前にはお爺さんと女の子の石像がある。
柔和な表情で痩せたお爺さんの石像。
目つきが悪い無表情な女の子の石像。
まぁ、石化したアンバリーさんとリコールちゃんなんだけどね。
理由は簡単だよ。
私が最後に渡した贈り物の効果が発動したんだね。
リコールちゃんには得意な武器のハルバート。
アンバリーさんには短剣だったね。
その二つは私や娘に危害を加えようと考えたら設定しておいた《時空間》が発動するんだ。
少し前に魔力で高めた【廃石の邪眼】を使用してる過去の私に見られるって訳だよ。
もちろん変装済み。
そして石化したあとは私の前に転移させるってね。
静と忍はいきなり来た石像に驚いた様子を見せたような気がするけどそのまま将棋盤を睨み合ってる。
うん、今度は将棋を二人に教えたんだ。
駒に漢字を書いたらそのまま魔法文字として登録されちゃったけど。
魔力の流れを制御してるから大丈夫だけどね。
そうそう、道具の効果は連動するから片方が条件に合えばもう片方にも効果が発動されるんだよ。
乙女の部屋を覗こうとする変態さんに容赦なんてしないよ。
私の能力や情報を得るためにアンバリーさんが外の窓から私の部屋を覗こうとしてたみたい。
《時空間》で中身が分からないようにしてるから見られてないけどね。
え、私は帝国の二人を《時空間》で覗いたからおあいこじゃないかって?
・・・まぁ、良いよね。
リコールちゃんとアンバリーさんは【鑑定】で【石化耐性】は持ってないし状態異常を無効にする魔道具も持ってなかったからね。
この状態じゃ抵抗も碌にできないよね?
早速、私の配下にしちゃおう!
「《魔王の契約》。」
黒いモヤが二人を覆っていくのを見ながら私は二人にもあの子を入れちゃおうと思った。
重要な立場だからね。
色々と使えそうだしね。
ん?
あれ?
リコールちゃんの中に入ったあの子の手応えがおかしいな。
何かあったのかな?