第十四話 私、相手の心配をしました。
「勇者様にはこの大きさの革の鎧がちょうどいいかな。
この木剣じゃ大き過ぎるし、こっちなら大丈夫そうかな。」
私はウルーベルさんに革の鎧と木剣を見繕ってもらってます。
なんとウルーベルは女性の方でした。
レガリアさんほどではないけどそれでも騎士は男性のイメージが強い私には驚きです。
魔王時代の騎士も殆どが男性だったからね。
ま、筋肉が付きやすいから多いんだろうけどね。
あと、性別によってステータスの上がり方も違う。
性別補正って言えばいいのかな?
人の男は力が、人の女は素早さが、みたいな感じだったかな?
ウルーベルさん達は『紅乙女』と言う騎士団に所属だそうです。
ウルーベルさんによるとその『紅乙女』は半分が女性で成り立っているみたいです。
特徴は鮮やかな紅の鎧とその女性の多さだそうです。
ちなみにその騎士団の団長がレガリアさんなんです。
女性の騎士団長は珍しいとウルーベルさんが言っていました。
なるほど、レガリアさんは例外なのかな。
騎士団長が女性だから女性の騎士が集まりやすいらしい。
なんと殆どがレガリアさんに憧れて騎士を目指したんだとか。
凄いね、レガリアさん!!
それで私の革の鎧はツルツルとした手触りの軽い物でした。
形はベストみたいに袖が無い。
微かに汗のような匂いがするね。
「ちょっと汚れてるけど勇者様に合う大きさはそれしか無いから勘弁してね。
木剣はどう?
重たいならまだ軽いのはあるよ?」
ウルーベルさんから渡された木剣は軽かったよ。
軽く振ってみる。
ヒュン!
うん、大丈夫そうだね。
あとは私の力がどれだけあるかだね。
これでも多くの配下を持ってたからね。
力を強くするスキルだってあったし、素手でドラゴンを倒せた。
軽く触るだけで鱗が砕けた時はギャグの領域だった。
そんな剛力を人に向かって使えば?
即座にミンチの出来上がりだよ。
でも今は魔王時代の殆どのスキルが無い。
多分普通の女子高生ぐらいの力しかない。
騎士対一般人。
普通は騎士の方が勝つ。
・・・それでも《物理の極み》があるから負けはしないと思うけどね!