第百三十九話 私、お客さんを試しました。
人族の勇者、リコール・アンダーソン・フレブラーナ。
見た目は中学生ぐらいの女の子。
こっちは【鑑定】でクラスが勇者だと確認できた。
まぁ、今回は人族の勇者が会いに来ると言ってたのは本当の事だったみたい。
レベルは低いけどステータスが高いね。
そう、静と同じような感じなんだよね。
勇者ってクラスはレベルアップ時のステータスボーナスとかが高いのかもね。
ちょっと顔が怖いけどね。
その連れである帝国の諜報管アンバリー・デオネット・ロロイ。
見た目は好好爺みたいな雰囲気だったけど【鑑定】で確かめたら諜報員だった。
持ってるスキルも【アサシネイト】とか【爆破】とか【クローズテラー】とか【自爆】・・・などなど。
なんかスパイ活動がしやすそうなスキルを沢山持ってた。
二人の目的も《時空間》で少し前の帝国での様子なんかも調べて分かってるからね。
表向きは私と仲良くなる。
裏では私や異世界について調べるって目的だったらしいね。
全部が筒抜だった訳だけどね。
そうそう、帝国の事も調べたけど帝国人って凄く特徴が多かったよ。
まずは全身が白い。
肌や髪も真っ白な人達なんだよ。
瞳も白に青がかかったような空色なんだよ。
大半の人が無口、無表情でそこから誤解を受けやすい人達みたい。
まぁ、不気味と思われても不思議じゃないね。
ヤハルさんが怖がってたのも帝国人の噂であって本当の帝国人は全くの別物だった。
奴隷市場が盛んなのも誤解と社会的な理由があった訳だしね。
でも、見た目は雪景色に溶け込む事、間違いなしだね。
だから私の配下を帝国にこっそりと紛らわせるなんて無理。
【コピー】を渡せば幾分かは白くなるだろうけどそれでも誤魔化しきれなさそうだしね。
正々堂々と商人として送った方がまだ怪しくないからね。
だから二人にはバレても問題無い情報だけ話した。
まぁ、横でヤハルさんが私を凄く持ち上げてたから二人の、私についての情報は少しは誇張も混じってるかもしれないけどね。
世界の事も地球の学者さんが言ってたのは本当だけどそれが真実かは私も知らない。
でもありそうだけどね。
魔王時代の神もいくつか世界を作ったみたいだしね。
話は戻すけど帝国人の特徴や慣しとかも調べて私なりに歓待してあげた。
表向きは仲良くするみたいだからね。
相手の文化にのっとって歓迎されるなんて嬉しいよね。
それで今はリコールちゃんは空を飛んでる。
理由は簡単だよ。
静に投げ飛ばされたからね。
いやー、ステータスが似てるなら戦っても大丈夫だと思うし、静は手加減ができるようになったから問題ないね!
アンバリーさんが引きっつた顔をしてるけど無視。
勇者は一人だけじゃないんだよ。
私の娘も勇者です、なんて伝えた時の帝国二人の反応は面白かった。
リコールちゃんとアンバリーさんのスキルも欲しいから条件次第で《魔王の契約》が発動するようにした贈り物をしてる。
私の読みでは必ず発動するね!
発動しなかったら信用してもいいかな。