百三十四話 私、手話と点字を娘に教えました。
「シズク様、午後からお客様が来られます。」
「お客様ですか?」
朝ご飯を食べ終えて静と忍に点字と手話を教えてたらヤハルさんがそう言った。
静は目の前で、忍は天井で念話を使って教えてる。
あぁ、なんで二人に点字と手話を教えている理由は色々あるけど一つは暗号として使えるからね。
まぁ、静が何故か話せないから念話以外でも話せるようになってた方が便利だと思うしね。
何かの拍子で念話が使えなくなるかもしれないからね。
そもそも、点字は中世のヨーロッパの兵隊さんが暗号として開発したものらしいし。
手話といっても日本の五十音を指で表す指文字だしね。
私が知ってるのはゲームに出てきたからだね。
とある忍者のテレビゲームで指文字が採用されてた。
相手に分からないように声を出さずに会話をするってコンセプトだったんだけど指文字の存在を知らないユーザーが多くて不人気だった。
NPCの忍者も指文字で説明とかしてたからほとんどの人がチュートリアルで止めてたっけ。
点字も同じ。
ゲームの知識だよ。
視覚障害者でも遊べるように文字を点字にしたらしいけど凹凸の無い画面で点字を表記されてた。
視覚障害者の人は点字に触れないから読み取れないし、普通の人も点字なんて読めないから不人気だった。
内容は二つとも面白かったんだけどね。
あとはアンさんの加護の魔法文字の作成の効果で点字と手話が魔法文字として使えるようになった。
なんか最初に二人に教える為に点字を書いたり指文字をしてたら感覚で魔法文字が出来たって分かった。
一つ一つじゃ何も起こらないけどスキル名を点字か指文字で表すとそのスキルを使える事が分かった。
私も最初は驚いたしヤハルさんも驚いてた。
とっさに私の居た世界の文字ですって答えちゃった。
「シズク様、北の国のノーセブス帝国から勇者様が来られるようでございます。
シズク様に一度、挨拶をしたいと言われて帝国からこちらに来ていると情報がございます。」
「ノーセブス帝国?」
新しく聞く国の名前だよ。
それに勇者ってもしかして・・・。
「はい、ノーセブス帝国は人族至上主義の国家でございます。
そこにはこの世界の人族の勇者が居られます。」
「そうですか。
それなら会らないといけないですね。」
現地の勇者か〜。
どんな人だろうね。
あー、人族至上主義の帝国とかもこの世界には有るんだね。