第百ニ十九話 私、不浄蟲の魔王を綺麗にしました。
スキルを活用したり魔力で作ったりして蟲人達が居た森に近い状況を作って蟲人達を放った。
【マイムパペット】で見た目が人間にしか見えない人形を作って数体渡しておいた。
有用なスキルも持たせてるし大活躍間違い無しだね!
あとは【治癒の蜜】や水が溢れ出す道具も作ったり果物の種を魔力で作って渡したりした。
そうそう、結界を張って魔物が入らないようにしてると伝えてる。
結構奥に行くと壁に当たるからね。
結界じゃなくて空間の壁だしね。
その向こうにも森が続くような景色が描いてあるけど実際は何も無いからね。
だからそこから先は結界があるから行けないと伝えてる。
ある程度密度が高くなったら自動で広くなるようにしてるから心配ないしね。
蟲人達は凄い感激してたし良い仕事をしたね!
さて今は不浄蟲の所に居るんだけど。
臭い、汚い、気持ち悪い。
地下水路にいた頃と同じように塊になって蠢いていた。
腐敗臭とヘドロまみれで本当にきもちわるい。
「【浄化】。」
ギィィィィィィィィィィ!!!
うん、【浄化】をかけると苦しそうに叫ぶんだよ。
不浄蟲って言うぐらいだから綺麗になりたくないのかもしれないけど。
でもここは心を鬼にして【浄化】をかける。
「【浄化】。」
ギィィィィィィィィィィ!!!
「誰じゃ!?
妾の子らを屠る輩は!?」
あれ?
塊からなんか出てきた。
「おんしか!?
おんしが妾の子らを攻撃しとんのか!?」
「【浄化】。」
「ギャアアアアアア!!!」
多分、あれが魔王だろうね。
擬人化でもしてるのかな?
チッ。
こいつもある部分が大きいね。
妙齢の美女だね。
艶のある長い黒髪に白い肌、赤い瞳。
顔は綺麗な顔なのに怖いね。
つり目やその下のクマがあるから怖い印象を抱くのかも。
まぁ、悪女や悪役令嬢としてはピッタリな感じだね。
「汚いから綺麗にするよ。」
ちょっと口調がきついけど良いよね。
臭いし汚いし胸が大きいし。
「何をほざくか!!
人間風情が調子にのるでないわ!!
妾の子らよ、かかれ!」
うわ、塊が蠢きながら私に向かってきてるや。
「【浄化】。」
ギィィィィィィィィィィィ!!!
うわ、【浄化】かけてもまだ向かってくるし。
苦しげな声を出すなら少しは止まってよ。
「止まれ。」
「な!?
妾の子らよ、止まるな!
進め!」
不浄蟲の魔王がいくら言っても不浄蟲達は動こうとしない。
まぁ、《魔王の契約》で命令してるからね。
あれ、体が少し硬く感じる。
あぁ、不浄蟲の魔王が私をじっと睨んでるからかな。
確か【廃石の邪眼】だっけ?
あれって不浄蟲の魔王が持ってたんだ。
「【リカバリー】。
目を閉じて。」
「な!?」
「はーい。
綺麗になりましょうねー。
声は出しちゃダメだよ。
【浄化】。」
「〜〜〜!?」
うわ、凄い苦しそう。
あれ、胸少し縮んだ?
いや、その前に周りの不浄蟲が溶けてるよね!?
【腐りし手】の効果ってあんな風なのかな。
腐るよりも溶けてるよ。
「魔王は前に出て来て。」
魔王を隔離しないと綺麗にしても汚れちゃうからね。
「!?
〜〜〜!!!」
何か言ってるけどー聞こえなーい。
「はーい、どんどん綺麗になりましょーねー。
【浄化】。」
「ーーー!!!」
おぉ、綺麗にはなってたけど【浄化】かける度にどんどん胸が小さくなるね!
「ー、ーー。」
息も絶え絶えになってきたね。
でも。
「【浄化】。」
限界まで小さくしてみよう。
なんか白目で痙攣してるけど気にしない。
なんかどんどん若くなってくけど気にしない。
だって魔王だからね。
泡を吹こうが血反吐を吐こうが魔王だから大丈夫。
私の魔力で回復もするし。
・・・汚れも元に戻らないよね?