第百ニ十八話 私、蟲人の新しい国を作りました。
とりあえず蟲人の皆さんに安楽椅子とゆったりとしたバスローブを作ってあげた。
床に裸ん坊で股を開けて転がってる様子はなんか可哀想に思えたからね。
もちろん、卵が産みやすいように工夫して作ったよ。
あと、【治癒の蜜】で作った蜜を吸ってもらってる。
主食が果実やハチミツだって聞いたからね。
お皿に蜜を乗っけて全員に回してる。
「とても甘い蜜ですね。
こんな蜜、初めて舐めました。」
「はい、とても美味な蜜です。
サオトメ様、この蜜を下さり感謝します。」
「まぁ、お構いなく。
口に合って良かったです。」
サステラさんとアイルさんは返事を返してるけど他の蟲人の人は一心不乱に蜜を舐めてる。
他の人は普通の蟲人みたいだから初めての蜜に感激してるとアイルさんが言ってた。
ハチミツってもしかして高価だったりするのかな?
「少しよろしいですか?」
「はい、何ですか?」
サステラが私に聞いてきた。
「サオトメ様、わたくし達は奴隷狩りに逢いました。
そしてある方に買われそして薬を飲まされました。
そこからの記憶が朧気なのです。
何が遭ったか教えてもらえますか?」
あれ?
全部の記憶は消したはずなんだけど。
まぁ、いっか。
私は知ってる事を話した。
もちろん、記憶を消したとか、記憶を読んだとかは言わない。
ローレイさんに会った所から話したよ。
そう、私に都合の良い事を。
「つまり、今はサオトメ様がわたくし達と卵を保護してくれているという事でしょうか?」
「その通りだね。」
蟲人の人は保護というよりも軟禁だと思うけど。
卵は保護よりも保管だしね。
そうそう、蟲人はオスの存在が居ないんだって。
だからあの卵からは全部、蟲人の子供が産まれるんだって。
一月後に。
あとで配下にしとこう。
「ではわたくし達が全員が女王種、卵を永遠と産める存在になった事は分からないのですね。」
「そうですね。」
うん、全く分からない。
蟲人は特定の魔石を食べ続けると死ぬまで永遠と卵を産める女王種になるんだって。
その印がお腹の紋様なんだって。
私の魔力供給が原因かなって思ったけど口にはしないよ。
「それではサオトメ様は今後、我々をどのように扱うのでしょうか?」
アイルさんからの質問も来た。
「え?
森に帰りたいなら帰しても良いけど。」
そう、家に帰りたいなら帰すよ。
「・・・今、我らが帰れば国が混乱するでしょう。
本来、女王種は国に一人だけですから。
爆発的に蟲人が増え食料問題や土地問題が出てきます。
最悪、現女王様と姫様以外の女王様の蟲人が処刑されてしまうでしょう。」
あー。
確かにあのペースで増え続けたら食料不足にもなるか。
みんなで一秒で10個の卵を産むんだからね。
遠くない未来で森から溢れちゃうね。
単純計算で一ヶ月後には7万人の蟲人の子供が卵から孵るからね。
でもそれだけなら私は解決は出来るね。
「えっと食料ならその蜜を永遠と出せる道具を渡すし、住居なら私に良い提案があるんですけど聞きますか?」
「ほ、本当ですかサオトメ様!?
聞きます!」
「分かりました。
ですが、この話は他の人に話さないで下さいね。」
「「「「「はい!!!!!」」」」」
私は《時空間》の事をぼやかしながら新しい大陸と偽って亜空間に住むように提案した。
「なんと未知の遠く離れた大陸に国を興すとは。
しかもそこにはまだ他の者も居ない未開の土地。
奴隷狩りに遭う事もしばらくは無さそうです。」
「どうですか?
1から始める事になるから私の方から何名か信頼出来る人も派遣しますよ?」
「はい!
行かせてください!」
話は纏まったね。
でもなんでこんなに話が進むんだろ?
普通は疑問に思ったりするよね?
もしかして、蟲人って単純なのかも。
まぁ、安全と繁栄は保証してあげるけどね。
少なくとも私がこの世界に居る限りはね。