第百ニ十七話 私、蟲人の姫を配下にしてました。
さて不浄蟲の所に行く前に蟲人の娘達の所を覗こう。
最後に見たのはいつだったかな?
4、5日ぐらい前だったかな。
そろそろバララークさんが飲ませてた卵を産む薬も抜けてきた筈だからね。
え〜と、どこらへんだったかなぁ?
あ、あったあった。
うへぇ、卵が一杯だね。
床一面が卵だらけだよ。
産まれた卵は別の空間に均一に間を開けて置いて保管してる。
そしてその卵の保管する空間の広さは卵の量が増える度に広くなっていくように設定してたんだけど。
え〜と今は大体・・・2万km2!?
日本の四国がすっぽり入っちゃう大きさじゃないかな!?
よく見ると奥の方で卵がどんどん置かれていってる。
前に見た時は一人当り1時間に5個ぐらいの筈だったよね?
どんなタイミングが揃ったのか分からないけど今は1秒で10個置かれてるように見えるんだけど!?
早く蟲人の所に行かなくっちゃ!!
何か異変があったのかも!?
・
・
・
そうそう蟲人の卵はラグビーボールの形と大きさなんだよ。
それが常にお腹の中に四、五個ぐらい入ってるみたいだからお腹だけは妊婦みたいに膨れてるんだよ。
卵が産まれる時の表情とか苦しそうだったしね。
だけど今、私の目の前に居る蟲人は変わってた。
「ねぇ、私に対する当て付けなの?
持ってない私に対する嫌味なの?」
全員の胸が大きくなってた。
ふざけんな!!
みんな自分の顔よりも大きくなるなんて何があったの。
卵を産ませる薬、あの薬の効果で胸が大きくなったの?
分かった、私も飲む。
バララークさんから貰いに行く。
あとはお腹に変な紋様が浮かんでた。
妊婦みたいに膨らんでたのに今は細くなってた。
そしてその下の股からラグビーボールサイズの卵がポンポン出てきてた。
・・・どゆこと?
え?
どこからその大量の卵は出てくるの?
お腹の紋章が関係ある事は確かだと思うけどね。
「あの、どなた様でしょうか?」
綺麗な色彩の複眼と蝶の羽を持った蟲人の少女が私の姿を見て尋ねてきた。
顔は幼く胸以外はまだ細い未熟な身体付き。
う〜ん、10代前半かな?
仰向けで裸ん坊でその股からラグビーボールサイズの卵が出てくるという犯罪臭が凄そうな絵図だね。
・・・バララークさん、これ見て喜んでたんだ。
娘を近づけないようにしよ。
「姫様、この方から何かを感じます。
この不思議な場の主やもしれません。
まずはこちらから名乗り出た方がよろしいかと愚考いたします。」
全身が鎧みたいな外殻が付いてる蟲人の人が幼い蟲人に言った。
股の部分には外殻が無くてこっちもラグビーボールサイズの卵を産んでる。
え、姫?
「そうですね、アイル。
わたくし、王女サステラと申します。
以後お見知りおきよ。
それであなた様はどちら様でしょうか?」
蟲人の姫様は好奇心が旺盛みたい。
身分と名前を言って私の事を尋ねてくる。
うん、複眼だけどキラキラ光っているような気がする。
「姫様!
我が名はアイル・ガード・フォーム。
こちらの第三王女サステラ・プリンセス・フォーム様の護衛の者です。
我らは皆、クレノ大森林にあるスペラリ森林国のフォーム族の者。
先日、クレノ大森林で奴隷狩りに逢い奴隷にされてしまいました。
失礼ですがあなた様の名はなんですか?」
鎧の蟲人さんが姫様の簡単な自己紹介に声を荒げてた。
「はい、早乙女 雫と言います。」
あ、本名で名乗っちゃった。
だってこの人、気迫が凄いんだもん。