第百ニ十四話 私、この世界の魔力の事を聞きました。
私と静、ヤハルさんとウォンバットさんとコペル君、そして天井に居る忍の定番となりつつあるメンバーで朝ご飯を食べてます。
今回は地球のシリアルと牛乳を魔力で作ってみました。
「ガリガリ・・・うむ、美味しい。
小麦や果物を干した物に冷たい牛乳をかけるとこんなに美味しくなるとは思わなかったのである。」
ウォンバットさんが最後の一口を飲み込んで満足そうに呟いた。
「はい、故郷の自慢の朝ご飯です!
それにウォンバットさん、それだけじゃないんですよ。
小麦以外の穀類や植物の種も入ってますから栄養満点です。」
とっても女性に人気だったシリアルだからね!
低カロリー、腹持ちが良い、植物繊維が多いという理由でブームにもなったんだからね。
「シズク様、この乳は臭みが少ないのでございますが何の乳なのでございましょうか?」
臭み?
あ〜、そういえば自然の牛乳は生臭いって聞いたような気がする。
これは魔力で作った牛乳は日本の牛乳パックに入っている物を作ったからね。
人の手が加えられてる。
「これは故郷の家畜の牛から取れる乳を魔道具で再現した物です。」
ここでも魔道具の登場。
もっとも牛乳を作る道具なんてあまり知らないけど。
「牛でございますか?」
「はい。
人が飲む為に洗礼された牛乳です。
牛の餌や運動量、絞った後に加工をした物です。」
「シズク様、シリアル美味しいです!」
『ガ、リ、ガ、リ。』
『お母さん、これ、すっごく甘い!
おかわりしたい!』
子供達にも盛況だね。
忍にはもう一杯分のシリアルと牛乳を空っぽになったお皿へと転送する。
最初はトッピングにハチミツやアイスクリームも乗せようかと思ったけど牛乳だけでこれだけみんなを虜にするなんて流石は人気のシリアルだね!
そうだ!
ちょうどウォンバットさんも居るしスキルや魔力について聞いてみよう!
この世界の魔力ってどんな物と考えられてるか分かった方が扱い易そうだしね。
私の魔力は邪神から渡されてる特殊なエネルギー。
魔王時代の世界では魔力は心が発するエネルギー。
じゃあ、この世界は?
それが分かれば私もスキルを使うのが楽になりそうだからね!
「ウォンバットさん、質問をしてもいいですか?」
「うむ、なんであるか?」
「魔力の事についてなんですがこの世界の魔力とはどのような物だと考えられているのですか?
私が居た世界では魔力とは心が発する特殊なエネルギーの事だと言われていました。」
「うむ、魔力とは何か、であるか。
一般的には女神メカルーネ様が我らに授けた力、スキルを使う為に共に作られた存在だと言われている。」
へぇ、魔力はメカルーネさんが作った物なのか。
「その事を裏付けるように人は『成人の儀』以降より魔力を扱えるようになるのである。
中には生まれ付き魔力を扱える者達も居るのであるがそれは一握りの才能のある者達である。」
才能かぁ。
それじゃ、『成人の儀』を受けていない静は才能があるって事だね!
ゴブリンに対してスキルをどんどん使ってるからね!
流石は私の娘、可愛さだけじゃなくて優秀さも引き継いだんだね!
「しかし、我はこの説に疑問を持っているのである。」
「疑問ですか?」
「うむ、魔力は魔物も持っている。
いや、人族よりも多くの魔力を持つ魔物は数知れない。
女神メカルーネが作った魔力をどうして彼らが持つのか。
我は魔力は元々この世界に有った物だと考えている。」
「ウォンバット様、その言葉を聞かれれば周りから不信感を抱かれかねません。
お慎み下さい。」
ウォンバットさん、結構言うね。
多分、その説ってマグル教の人が言ってる事なのかもね。
でもヤハルさんの顔が険しくなってるから一般論の方を信じてるんだろうなぁ。
聞かれたら異端扱いされちゃうかもしれないね。
私もこの事はメカルーネさんに聞くまで黙っておこう。
なんか空気も重たくなってきたし話題を変えちゃおう。
「それじゃ、何々の心得というスキルってどんな物ですか?」
「うむ、クラスの固有スキルの代表である。
『成人の儀』を迎えた者のクラスに応じて名称は変わるがその効果は固有スキルに関係している。」
「そうなんですね。
じゃあ、今度は・・・。」
私はその後もスキルの疑問を聞いていった。