第百十七話 私、孤児を保護しました。
はい、これで終わり!
盗賊の親玉を配下に加えてあの子に洗脳させて《時空間》で地上の街に飛ばした。
この盗賊団は物じゃなくて人を攫う事に特化した盗賊団だった。
全員の記憶を読んで分かった。
ターゲットの全てが幼い子供、それも孤児。
人数は50人前後かな。
まぁ、この子達が孤児だって事はこの子達の記憶を見たから分かった事なんだけどね。
魔物が跋扈する世界。
そしてこの世界にもその魔物を倒す存在が幾つか居る。
一つは国の騎士。
騎士って言っても名乗り方は違うみたいだけどね。
戦士とか兵士とかね。
まぁ、国を護る為の存在だからね。
当たり前と言えるかもしれない。
でも騎士は国の優先度が高い箇所の魔物を倒すから必然として手の届かない箇所が出てくる。
一つは民間。
ギルドと言われる相互組織に加入し街や村、国からの依頼を受ける便利屋。
この世界では冒険者って呼ばれてる職業だ。
魔物を倒す依頼もあるし薬草採取やトイレ掃除なんて雑用依頼もある。
そしてここが大事な所。
殆どは外の世界に出る依頼が多い事だ。
そして外に出て行く依頼は高い。
命の危険を顧みずに外の世界に出て行く冒険者が多い。
そしてそのまま命を落とす人も多い。
子を残して死んでいく冒険者の夫婦もこの世界では珍しく無いみたい。
その子供達の受け入れ皿が孤児院やスラム街なんだけどね。
それでこの盗賊団は孤児を攫って奴隷商に売ってた。
子供を金に変える事に何も思わなかったのかな。
幼い奴隷がどんな需要があるのか知りたくもないね!
・・・いっその事、孤児やスラムの住人を配下に加えちゃおうかな?
そして天空に浮かぶ島でも作ってそこで暮らしてもらおうか?
私は配下が増える、子供達は安全を得る。
両者とも嬉しい事になる筈!
「顔がぁぁぁぁグフ!!」
あ、ローレイさん、やっと起きたんだね。
叫びながら文字通り飛び上がって天井に頭を打って床の上でもんどりうってる。
う〜ん、私のゾンビフェイスがそんなに怖かったのかな?
「おはよう、ローレイさん!」
頭を抑えたくても抑える手がないローレイさんに挨拶をした。
「った〜。
あん?
・・・マリアか?
お前、なんで地下水路に居るんだよ?」
ローレイさんは私を見上げながら涙目で聞いてきた。
「ここの人達に用があったからね!
それよりもローレイさんは大丈夫かな?
うなされてたけど。」
原因は知ってるけどね。
「そ、そうだ!
おいぃ、マリア。
ここはヤべーぞ!
ォ、オレ、スゲー怖い魔物に会ってよ!
・・・あん?
おい、そのガキ共はなんだよ?」
ローレイさんが震えながら言ってる。
手足無しで涙目で震えられちゃ私が悪いみたいだね。
「あ、それは私がローレイさんを驚かせようと仮面を変えて出てきたんだ!
あと、この子達はあの人達に攫われてた孤児だよ!」
「おどっ!?
ふ、ふざけんなよ、テメーッ!!
ヒック、スン、ズズ。
マ、マジで怖かったんだぞ!!」
あれ、ローレイさん、ガン泣きしてる?