第百十二話 私、アンクベリーが欲しくなりました。
甘い香りがする赤いお茶、『アンクベリーティー』をヤハルさんに入れて貰いました。
なんとこのお茶は名前の通りアンクベリーという赤い果実から作られたお茶なんだって。
しかもその果実はアンクベリーのエルフからしか取れないベリーを使用してるんだって。
ここにもエルフが出てきたよ。
普通のアンクベリーは苦味が強いけどエルフのアンクベリーは甘みが強いみたい。
そしてそのアンクベリーを乾燥させた物をお湯に浸すとこの香りと味が上品な紅茶になるんだって。
実際にエルフから出来る物は従来の物よりも質が高い物が収穫が出来るみたい。
エルフが関わると従来品の2、3倍の高値で取引される程なんだって。
くぅ、エルフめ、侮れんな!
そして私の配下のクーは本当にどんな植物なんだろうね?
髪が色取り取りで緑の肌と胸の脂肪の塊以外に何か特徴が有ったかな?
「それではシズク様、『特性』について説明させて頂きます。」
「はい、お願いします。」
アンクベリーティーに夢中になってて本来の目的を見失ってたよ。
うん、危なかった。
でもこのアンクベリーティー、ほんとに美味しいな。
アンクベリーもパイとかに使えそうな気がするね。
ブルーベリーに似てるけど酸味が少ないし後味もスッキリ。
香りは花の蜜みたい。
「『特性』とはスキルや称号とはまた別の力でごさいます。
一説には女神メカルーネ様がわたし達を創造した際に付与された物だとされています。
そして『特性』は主に『種族特性』『称号特性』『固有特性』の3つがございます。」
「3つですか。」
アンクベリーのジャムもいいね。
焼いたトーストの上にそのジャムを乗せて齧り付きたいな。
いや、ビスケットの上に乗せるのも捨て難いよね。
いやいや、バウンドケーキの具にも使えそうだね。
じゅる、うへへ。
「『種族特性』とは『成人の儀』を行った種族毎に与えられる『特性』でございます。
これは『成人の儀』を行えば誰もが持てる『特性』でございます。
しかし名前の通り種族によって『特性』の効果に違いがございます。
因みに人族の『種族特性』は『無限の可能性』というものでスキルを習得しやすくなるものでございます。」
「は〜、そうなんですか。」
でもその前に普通に生のアンクベリーを食べてみたいね。
お茶でこんなに美味しいから生のアンクベリーも美味しいはずだよね!
・・・エルフが集まる森があるってヤハルさんが言ってたよね。
ちょっとエルフ狩りにでも・・・いや、もしかしたらクーみたいなエルフしか居ないかもしれない。
そんな地獄絵図を見たら私は血の涙を流しながら呪詛を大声で叫ぶかもしれないからね。
うん、その可能性は否定出来ないね!
「『称号特性』とは『称号』を得ると同時に付与される特性でございます。
これは『称号』によって効果が変わります。
有名な物であれば前勇者の『紅蓮雪』『雷帝』『終の輪廻』でございましょう。
どれも『称号』が元になった『特性』でございました。」
アントベリーのドライフルーツもいいね。
穀類を使ってシリアルを作って魔物の乳と食べたら最高かもしれない。
いや、ゴブリンの森で見つけた甘い樹液に浸してみるのも手かもしれないね。
後はお酒かな。
果実酒ってのもゲームや魔王時代でも作った事があるからね。
う〜ん、でもお酒はまだ飲んだ事が無いから美味しいか分からないな。
でも果実酒なら料理の香り付けにも使えるからいいかもしれない。
「最後の『固有特性』ですがはっきりと分かっておりません。
所持している方が少なく付与される方法も未だに分かりません。
ただ、はっきりとした事がございます。
それは同じ『固有特性』は出ないという事、とても強力な効果を発揮する『特性』である事でございます。
わたしが知っている物でも『聖火』『獄牢』『死にたがりの道化』などがございます。」
「あー、はい。」
染め物にも使えそうだね。
アンクベリーを潰して布に浸したりしてさ。
食べ物以外にも活用出来るとはとても素晴らしい果実だね。
「シズク様、聞いておりましたか?」
「あ、はい。」
アンクベリーが欲しいなぁ。