デスクの下
■6月25日
デスクの下に転がっていってしまったのだ。
しょうがないので、床にはいつくばって探す。
が、なにぶん、小さいものなのでなかなか見つからない。
そうこうしているうちに、この会社はフェミニストが多いのだろうか。
「どうしたの?」「何か見つからないの?」
周りの席の方が声かけてくださる。
「や、すぐ見つかるだろうから大丈夫です」
不自然な笑顔でかえすが、
「じゃ、こっちの机の下に入ってしまったのかもしれないね」
と他の方まではいつくばって捜してくれる。
あぁ、やばい。やばい。やばい。
どうか、放っておいてください。
捜すからいいのです。自分で捜すからいいのです。
どちらかと言えば放っておいて欲しいのです。
それが私の望みなのです。
そんな私の視界に探していたものが目に入った。
「あ。」
「お?あった?」
「あったの?」
「何を探していたの?」
見つかりました。
床に這いつくばってまで捜していた、
以前UFOキャッチャーでとった、青い、
小指大のスライムが。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・それを探していたの?」
「・・・・・はい」
私は忘れない。
一生忘れないだろう。
彼らの、またも裏切られた、という物悲しい瞳を。
だからもう生きててごめんなさい。