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オオカミさんと二丁拳銃  作者: 帰来 青春
第一章 懐かしい人
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季節外れの転校生

私もまだまだだな。

Aレートのバンパイアと一対一でやりあって疲弊してたとはいえ、人狼の群れから一般人一人守れないなんて。


女子寮から教会学園までの通学路を歩きながら、物思いにふけっていた。


昨日の戦いを振り返って、自分に反省を促す。


強い風に煽られて、亜麻色の髪がなびく。

戦いに関して反省をしたかったが、長い髪が揺れて、思考が散漫になっていた。



新年度が始まって、早一ヶ月経とうとしているが、

春一番にしてはあまりに遅過ぎる。


石畳の道を進んで行くと、校門とその先に校舎が見えてくる。

周りに学生が増えて来た。


校門に入って少し人が散けてきた。

朝から校舎の手前にある学食に向かうもの、

演習上に向かって朝から修練に励むもの様々だ。




そういえば、彼は大丈夫だっただろうか。



結果として助けられる形になってしまっていため、心配していた。

後から、支援のために合流してくれた同期のラムザに手伝ってもらい、

負傷した彼を学園の男子寮まで運び、メイサさんに手当をお願いして、それっきりになっている。



背中には人狼の爪による深い切り裂き傷、

そして、即座に反撃したものの、首筋には決して深くはないが噛み傷があるはずだ。

一日や二日で動けるようではないはずだ。



校舎の階段を上って、教室に入る。



「ミライ、おはよう!」

「よっ、アスハ。」


同じガンナークラスのクラスメイトに声をかけられる。

「おはよう。」


軽く挨拶を交わして、教室の後ろの窓際の自席に向かう。

席について早々に手帳を取り出し、今日の予定を確認した。



今日のカリキュラムは午前中は、座学で、午後は銃を使った演習で、

それ以後、ヴァンパイア討伐の任務も入っていない。



午後の演習が終わったら、彼の様子でも見に行ってみようかな。



そんなことを考えていると、教室にミネバ先生が入って来た。



「おはよう、みんな、席について。」


クラスメイト達が自席に向かい、椅子を引く音が響く。


「今日は、皆さんに転入生を紹介したいと思います。」


教室がざわめく。四月でもない、この中途半端な時期に編入してくるなんて、本当に珍しい。


「さぁ、入って。」


教室のドアから、背丈は170センチをこえるくらいで、若干猫背な感じで、気だるそうな感じだ。お世辞でも姿勢がいいとは言えない。

顔を見て、私は驚いた。


「初めまして、狼谷 大牙といいます。この世界初心者なんでよろしく!」


昨日の彼だ。でも、昨日の怪我から考えて平静と前に立っていられるのがおかしい。そして、この世界初心者?何言ってるの。


頭でも強く打ったに違いない、困惑を通り越して、呆れることしかできなかった。


ただ、彼が無事で少し安心した自分もいたようだった。

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