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オオカミさんと二丁拳銃  作者: 帰来 青春
第一章 懐かしい人
5/7

ライカンスロープ

光が射してきて、目を覚ました。

そこには、見知らぬ天井が広がっていた。


最近、見知らぬところで、よく目を覚ますな。


ここまで来ると自分が夢遊病じゃないかと疑いたくなる。

そんなことを思いながら、体を起こす。



前目が覚めた時は、森の中だった。そして、体の節々が痛かった。だが、今回は大きく違う。

屋内の一室で、ベットの上だ。そして、上半身には包帯が大量に巻き付けられており、

誰かが手当をしてくれたみたいだった。


この包帯の量から察するに大層な怪我を負っていたことがわかる。

状況を整理しようと思考を巡らすと、若干、頭痛がした。


俺は図書館で、暗闇に飲み込まれたんだ。そして、森の中、人型の獣襲われて……

最後、女の子を庇って……あの怪物との間に割って入ったんだ。



やっと、そこまで思い出し、自分の体は無事かと、腕を回したり、

首もとを触ったりしてみる。無事みたいだ。



ただ、予想以上に痛みがなかったことに自分でも驚いた。

自分の記憶と、この包帯の量が確かならば、生死をさまようかどうかの怪我を負っていたと思うのだか。



そんなことを考えていた時に、廊下から足音が聞こえ、部屋のドアが開いた。

恰幅の良い40代くらいの女性が入ってきた。



「目が覚めたのかい。体は大丈夫かい? 」

この人が、面倒をみてくれたのだろうか。


「体は大丈夫みたいです。すみません。ご迷惑をおかけしたみたいで。」

ベットから降りようとする。


「何言ってるんだい。あんな大怪我負っていたんだから、休んでいなきゃダメだよ。」

ベットから立ち上がろうとするのを早々に静止させれる。


「あたしは、ここ聖カレント教会学院の寮の寮長を務めているメイサだ。よろしくね。」

寮長と言われると、納得感がある。炊事に洗濯、子供の面倒までみてしまいそうなイメージそのままだ。



「どうも、タイガって言います。あの、メイサさん。なんで俺はここにいるんでしょうか。」

ここに来て初めて、まともに質問できる機会に巡りあう。


「あんたは学園のハンター達に運ばれてきたんだよ。ミライと、ラムザに。」

「人狼との戦いの中、ミライが自分が油断したせいで、あんたに怪我を負わせてしまったって言ってたよ。でも、無事で良かった。」

ミライとは、あの二丁拳銃使いの子のことだろうか。


「あの、人狼って何です?もしかして、 狼男ってヤツですか? 」


「あんた、この辺で見ない顔だと思ったら、人狼も知らないのかい。そう狼男だね。ライカンスロープとも言うね。」

この世界では、人型の獣がいることが常識のようだ。


「あんたはホントに運がいいよ。人狼に噛まれたら、人間の意識がなくなり、同種の人狼になっちゃうもんなんだよ。」

首を擦りながら、噛まれたあとがないか確認する。包帯越してよくわからない。


「噛まれても、人狼にならないときもあるんですよね? 」

心配になって確認する。


「基本的には人狼になるって聞いているよ。ならないケースって……甘噛みの時とかかい?  

 本気で噛まれてたら、もうあんた、今頃野生に返って森の中さ。」

うまいことを言ったつもりでいるのか、くすくす笑っている。



しかし、俺にとっては笑えない冗談だった。

おいおい、マジですが……


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