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オオカミさんと二丁拳銃  作者: 帰来 青春
第一章 懐かしい人
3/7

懐かしい感覚

絶対にするな!


と禁止されると、必ずやりたくなってしまうのが人間の性だ。

ましてや、よくわからない世界で、人型の獣に追われ、目の前には二丁の拳銃を巧みに扱う女の子。

こんな状況で目をつぶれと言われても、正直無理がある。瞬きするのも惜しいくらいだ。


そんな事を考えてる最中、掛け声とともに彼女の回し蹴りが、頭上をかすめる。

すぐ頭上まで迫っていた人型の獣に、蹴りが見事に炸裂したことにも驚くべきだか、急に雑念というか、煩悩が強引に割り込んできた。



清純の白か。



一筋のラッキパンチに危うく声を漏らしそうになったが、理性でなんとか抑えた。

振り返り立ち上がろうとすると、次の人型の獣が彼女の銃の雨を食らっているところだった。

間一髪、死なずに済んだか。


だか、すぐ後ろにいたもう一体に彼女は反応しきれていない。


助けなきゃ!


災難ばかり、不運続きの運命を振りまく神に代わって、今この瞬間、彼女は白い幸運を垣間見せてくれた……と、こんな戯言は横に置いておいて。



彼女には、何か懐かしさのようなものを感じていたのだ。

初めて会ったばかりのはずなのに。幼なじみであるかのような感覚。


そんな思いが、自然と彼女を覆うように人型の獣と彼女の間に、体を割って入らせた。


背中に激痛が走る。


先ほどまでの痛みとは比べものにならない。熱された鉄線で切り裂かれたような痛みだ。

痛みに耐えきれず膝をつき、倒れ込んだところを、今度は首筋に痛みが走る。


噛みつかれたか、食いちぎられる。


その瞬間、再び銃声が嵐のように響く。

痛みが絶頂を向かえる。



そういえば、なんでこんなことになってるんだ。


高校の時、特にやりたいこともなかったし、ただ周りのみんなが大学を受けるという理由で、思いもなく大学を受験した。

興味のない勉強に熱が入るわけもなく、結果はものの見事に不合格。


華の大学生活とは一変して、薄暗い浪人生活がスタートした。

予備校は特段仲の良い友人はいなかったが、特に相手に取り繕う必要もなく楽な環境ではあった。


そう、そういえば、予備校の帰りに図書館に寄ってたんだっけ。


思考だけの暗闇の海から、走馬灯のように、映像が浮かび上がってきた。

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