If-出会い③-
今日は少し遊びすぎてしまった、暗くなる前に帰らなければお母さんに怒られちゃうなあ。
夕方、人気のない帰り道を歩く。いつもより不気味さが湧いてきてる、早く帰りたい気持ちが身体にまで伝わり少し早歩き気味になる。その時、
「ねえねえ、そこのお嬢ちゃん。」
若者が数人、花菜の前後に立ち塞がる。
「あの…帰りたいんですが…」
声を震わせて若者の一人を見る。
その若者は口元をニヤつかせ、
「ちょっと俺らと遊ばねえか?すぐ済むしさー。」
グループの一人が花菜の腕を掴む。
「やめてください…!」
「よく見たら可愛いじゃん、まあちょっと付き合って欲しいだけだからさ?いいだろ?」
「いや…!」 瞬間に
花菜の腕を掴んでいた手を引きはがし、そのまま若者にズイッと寄る男性の姿があった。
「こいつに触るな。」
顔こそは無表情だったが、声には確かに怒りを覚えていた。影のせいなのか、一層不気味になる。
若者たちは感じ取ったのか一目散に逃げていった。男性はふうっと息をつく。
「あ、あの…」
「帰り道は気をつけろよ、邪魔したな。」
「…一度何処かで、会いませんでしたか…?」
「さあ、俺はお前みたいな人は、知らない。」
男性は行ってしまった、名前だけでも聞きたかった…なあ…。