勝利の確信へ 弐
普通に殺してあげていいだろう。だって、悪いのはどうせ猿なんだから。そいつは敵、猿は裏切り者なのだから。敵は殺すだけだ。しかし、裏切り者はもっと痛い目に遭わせてやる。
「勝家、殺していい。市、長政。お前らはこちらに来い」
俺の言葉に皆従ってくれる。勝家はその男を連れ去り、長政と市は俺のところまで来る。
「……っ! なんでこんな格好なの? あの人は」
そして市は、猿が裸であることに気付く。恥ずかしそうに叫んで手で顔を隠す。
「あっ。絶対見ちゃいけないぞ、市。吐き気を催すかもしれないからな」
普段はとても親切な長政。しかし、今の言葉は少し棘があった。まあ、猿の格好を考えたら当然のことだろう。
「い、市さん……。その、これは……。あ、ごめんなさい」
市が来た途端、猿の様子は一変した。恥じらっているのではないだろうか。しかし、市を苦しめるようなことしたくない。確かに猿にとって地獄だろう。その地獄は、市にとっても地獄だから困る。
「長政、市を頼む。市も、目を開けたりしたら行けないぞ? 目を瞑っている間は、長政が安心させてくれ。思い切りいちゃついていてくれて構わない」
二人に小声で俺はそう言った。好きな女が他の男といちゃついている姿、それは精神的に来るだろう。
「光秀、どうしてやる? なんとか苦しめたいな。精神的にも肉体的にも」
痛みを与える、肉体的な苦しみはそれで十分だろう。精神的に苦しめる方法は何かないかと関げていたが、市に協力して貰うしかないらしい。妹を巻き込みたくないんだがな。
「拷問グッズ、使ってみてもイイ? 買ったはいいケド、プレイヤーアイテに使ったコトはナイんだよね。イツカ使ってみたかったんだ。ちゃんとイタミをカンじてくれるプレイヤーに」
興奮気味の光秀。そうだな、任せても大丈夫だろう。
「ねえ、ノブナガもコンカイクライ同席するでしょ? コイツが苦しむスガタ、一緒に見るよね」
普段の俺はそうゆうのをあまり好まない。しかし、今回だけは別だ。
「勿論だ。じゃあ、長政頼んだ。精神的に苦しめる感じに、シチュエーションを用意しておいてくれ。俺よりもお前の方が市を大切にしてくれてるからさ」
最初はキョトンとしていた長政。しかし、自信に満ちた表情で大きく頷いてくれた。
二人を残し俺と光秀は歩き出す。そして猿を鷲掴みすると、引き摺りながら歩いて行った。誰もいない、暗い部屋を探して。誰も来ない、暗い部屋を探して……。




